2017年を迎え、今年のえとは酉年。「ケンタッキーフライドチキン」では"トリニク年"と銘打ってキャンペーンを始めたり、唐揚げ専門店ではセールを行っていたりと、チキンを食べたくなった人も多いのでは? そんな中、高田馬場にあるジビエ居酒屋「米とサーカス」(東京都新宿区)でも「新春鳥祭り」を開始したという。

2016年2月に「閲覧注意! イナゴからサソリまで、高田馬場で「昆虫食」に初挑戦してきた」という企画でお世話になった同店。その店舗で行われる「新春鳥祭り」は、普通に唐揚げやチキンステーキではなく、にわとり以外の鳥料理が提供されるという。今回も恐怖心より好奇心が勝ってしまったため実際に行ってみた。

前回挑戦した昆虫食

想像を絶する鳥グルメが待ち受けていた

早速登場したのは、「カラスの黒煮込み」(税込1,580円)。

いやいやいや! カラスって食べるものじゃないでしょ!!

街中でよく見るカラスをイメージしてしまうので、食欲がなかなかわいてこない。同店の広報によると、普段われわれが目にしているのは「ハシブトガラス」というカラスで、これは「ハシボソガラス」という別種らしい。今回はこのカラスをみそ風味のスープで炊き込み、隠し味としてカレー粉が入っているという。ほんのりカレーが香り、「あれ? 意外といけそう……」と思わされる。

メニューには「ハシボソガラス」をそのまま半分入れているそうだ

編集部員I「カレーの匂いがする」

しかしその肉質はかなり固い。ナイフでも切り取ることができず、結局かぶりついて食べてみると、レバーのような味わい。聞けば身には鉄分が多いらしい。味そのものは、カレー風味もあってか、意外と手が進む。

ナイフが通らないので、そのまま食べるしかない

続いて出てきたのがこちら。

いやもう本当に無理。これは「スズメの照り焼き」(税込780円)というメニューで、京都の「伏見稲荷大社」の名物だそうだ。「伏見の方では結構食べられていますよ」と聞いても、さすがにこれはきつい。

目が合ったら食べられないだろ……

しかしここで逃げるわけにもいかない。思い切って口を開けて……。

あ"あ"!!

骨ごと食べられると聞いていたので、思いっきり頭をかむと、中からとろっとしたものが流れ出てきた。おそらく脳みそだろうが、これまで食べたことのない、野性味あふれる味わいでショックを受ける。骨をかみ砕くので、なんこつのような部分と柔らかい肉質を同時に味わえるらしいが、脳みそのショックが大きくてそれどころではなかった。

脳みそのショックで震える

とどめに出てきたのは、「アヒルのゆで卵(バロット)」(税込980円)だ。バロットとは、ふ化直前のアヒルの卵をゆでたもので、中は黄身と白身ではなくてほとんどの鳥の姿らしい……。

これを食べるのか……

これにヒビを入れて、どんどん殻をむいていく。

ペロッ

うわっ、きっつ……!
明らかに血管が浮き出ているゆで卵は初めてだ。さすがに生々しすぎる。

半分くらい砕いたところで、中を器に出してみた。顔を近づけると、ほんのりと温泉地特有の硫黄の香りがする。

亀裂に箸を入れてみると意外と簡単にほぐせて、結果的に3つの部位に分かれた。真ん中の部分がおそらく本体だったのだろう。ところどころに羽のような跡や目玉が出てきた。

もう何かまひしてしまったようだ。食べてみると味は、ゆで卵の白身と黄身を足して2で割ったよう。苦味や酸味をほんのりと感じられるが、醤油をかけて目をつぶれば通常の卵と変わらないかもしれない。このレアな体験はぜひここでチャレンジしていただきたい。

普段は食べることのない珍しい鳥たち

同フェアでは、ほかにも4種類の珍しい鳥グルメを提供している。通常メニューにもある「ダチョウのたたき」(税込820円)は、身が柔らかくさっぱりとした味わい。かなり筋肉がしっかりしており、肉の甘味も感じられる。鳥というよりは馬刺しに近いかもしれない。

「ダチョウのたたき」(税込820円)

オーストラリアで有名な「エミュー砂肝スモーク」(税込780円)は、しっかりとした歯ごたえのある肉質。後味に獣臭さを少し感じられえるものの、普段食べる砂肝の味とそこまで変わることはなかった。

「エミュー砂肝スモーク」(税込780円)

同店ではキジも食べられる。新年らしくした「キジ雑煮」(税込720円)は、しいたけのだしがほんのりと香る優しい味。肉質はにわとりと似ていたが、若干臭みを感じるかもしれない。それでも和風な味わいにはぴったりだった。

「キジ雑煮」(税込720円)

普段は卵でしかなじみのない、ウズラも磯部揚げに。「ウズラの丸ごと磯辺揚げ」(税込980円)は、ウズラの半身をちくわの磯部揚げのように揚げた一品。クリームチーズと荒塩をつけて楽しむことができ、たんぱくな肉質で臭みも少なかった。

「ウズラの丸ごと磯辺揚げ」(税込980円)

「新春鳥祭り」は1月31日まで行われている。酉年が始まって間もなく2週間。普段食べられない鳥料理を食べて、健やかな1年をこれから迎えてみてほしい。