大井川鐵道は11日、井川線千頭~井川間の全線運転再開について発表した。土砂崩れの影響で運休となっていた接阻峡温泉~井川間は3月11日の始発列車から運転再開。922日ぶりの全線開通に合わせ、千頭駅などで記念イベントが開催される。

関の沢橋梁を渡る井川線の列車(写真は大井川鐵道提供)

井川線は閑蔵駅付近で2014年9月2日に発生した土砂崩れにより、現在は千頭~接阻峡温泉間(15.5km)の折返し運転となっていた。土砂崩れの発生当初、土砂は約200立方メートルとみられていたが、二次災害も想定されたことから慎重に復旧作業を進めなければならず、2年半の期間を要することになったという。復旧工事完了のめどがついたことから、3月11日以降、千頭~井川間(25.5km)で平常運転を再開する運びとなった。

全線開通記念イベントとして、3月11・12日の2日間、千頭駅をメイン会場に「SLフェスタ in 千頭」を開催。3月18日には、地元自治体とともに開通記念式典が行われる予定となった。「SLフェスタ in 千頭」と開通記念式典の詳細は決まり次第発表される。

「南アルプスあぷとライン」の愛称を持つ大井川鐵道井川線は奥大井の渓谷を走り、日本唯一の運転方式となったアプト式鉄道で90パーミルという急勾配区間(アプトいちしろ~長島ダム間)を走行することでも知られる。接阻湖(長島ダム湖)に突き出した半島状の場所に位置する奥大井湖上駅をはじめ、全線運転再開後は鉄道橋として日本一の高さ(70.8m)を誇る関の沢橋梁、「秘境駅」ランキング上位に顔を出す尾盛駅、井川線の終着駅であり、静岡県の普通鉄道で最も海抜の高い井川駅(海抜686m)など鉄道名所も楽しめる。