本田技研工業(ホンダ)は6日、米国ラスベガスで開催中の世界最大の家電見本市「CES 2017」にて、ホンダ独自のバランス制御技術を二輪車に応用した世界初公開の実験車「Riding Assist」、EVコミューターのコンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」をはじめ、他社とのオープンイノベーションにより実現したさまざまな技術を公開した。
「Riding Assist」は「ASIMO」に代表されるヒューマノイドロボット研究で培ったホンダ独自のバランス制御技術を二輪車に応用した実験車。ライダーが乗っていなくても自立可能に。バイク自体がバランスを保つことで、低速走行時や停止時のふらつき、取回しの際の転倒リスクを軽減する。通常の走行時は既存の二輪車と同等の操縦性を実現し、ツーリングやバイクのある日常をより楽しくする提案でもあるという。
「NeuV」は世界初公開となるAI(人工知能)技術「感情エンジン HANA(Honda Automated Network Assistant)」を搭載し、自動運転技術を備えたEVコミューターのコンセプトカー。ドライバーの表情や声の調子からストレス状況を判断し、安全運転のサポートを行うほか、ライフスタイルや嗜好を学習して状況に応じた選択肢の提案を行うなど、ドライバーとモビリティの自然なコミュニケーションを実現するという。AIと自動運転技術によって広がるモビリティの可能性を模索するコンセプトモデルとなる。
その他、パーソナルモビリティ「UNI-CUB β」をはじめ、コネクティッドカー技術(ネット接続型や車車間通信自動車技術)で魚の群れの動きのようにスムーズな交通の流れを実現する提案「Safe Swarm」、新たな運転環境の提案「HMI Concept」、ガソリンスタンドやコインパーキングでクルマに乗ったまま支払いを行える技術「In-Vehicle Payment」、新たな後席向けエンターテインメントの提案「Dream Drive」、光学的に顔の振動を読み取り音声認識精度を向上させる技術「Vocal Zoom」などを出展する。
ホンダの「CES 2017」における出展テーマは「Cooperative Mobility Ecosystem(考える・つながる・楽しいモビリティのある世界)」。人々の生活の質を高める新価値提供に向け、AI、ビッグデータ、ロボティクス技術を活用したオープンイノベーションを加速させる。本田技術研究所代表取締役社長 社長執行役員の松本宜之氏は、「モビリティにまつわる身近なテーマを、シンプルに、美しく解決し、人々をEmpowerする(力づける)存在になることを目指して、さらなる研究開発に取り組んでいきます」と述べている。