米AMDは3日(現地時間)、同社が提唱するディスプレイ技術「Radeon FreeSync」の新機能となる「Radeon FreeSync 2」を発表した。HDR(High Dynamic Range : ハイ・ダイナミック・レンジ)時代のゲームをより快適にプレイできる環境を目指すという。

Radeon FreeSync 2テクノロジ

AMDでディスプレイ技術の開発を指揮するデイビッド・グレン氏(Senior Fellow Architect)は、「ゲームエンジンのHDR対応で、より現実的で自然な描画が可能になるが、ゲームをプレイするということで見ると、解決しない問題点も多い」と指摘する。

FreeSync 2に関して説明するデイビッド・グレン氏(右)

グレン氏によれば、HDRゲームの表示では、ゲームエンジン側でHDRレンダリングを行なった後、グラフィックスカードがトーンマッピングを行ない、そのデータをディスプレイ側に送る。しかし、このデータに対して、ディスプレイでもあらためてトーンマッピングを行なって表示するため、「ms単位の遅延が生じる」(グレン氏)という。

HDRレンダリングを普通のディスプレイに出力・表示した場合

HDRレンダリングをHDR対応ディスプレイに出力した場合、ディスプレイ側でも表示用にトーンマッピングを行なう必要があり、ms単位の遅延が生じるという

そこで、AMDは、ゲームエンジンがディスプレイ側のトーンマッピングを省略して、そのまま描画できるようにすることで、HDRゲームでも低遅延のプレイが楽しめるようにすべく、Radeon FreeSync 2 Technologyを開発。これを、現行のFreeSyncとは別規格として推進していく。

FreeSync 2では、ディスプレイ側のトーンマッピングを不要とすることで、遅延を最小限に抑えることが可能になる

非HDRレンダリングとHDRレンダリングのモード切替も自動的に行なわれる

Radeon FreeSync 2により、sRGBの2倍以上の色深度表現が可能になるとアピール

つまり、動的にディスプレイとの同期を図るFreeSyncとは別に、FreeSync 2はHDRゲーム向けのディスプレイ技術として併存することになる。

現行のRadeon FreeSyncとFreeSync 2は別々の規格として推進する。ゲームをスムースに、かつ高品位に楽しむためのディスプレイ技術として併存することになる

Radeon HDRトーンマッピングSDKのデモ。FreeSync 2対応ゲームタイトルも、このSDKを利用してゲームのHDRレンダリングを最適化することで、ディスプレイ側のトーンマッピング省略を図るのだという

また、グレン氏によると、Free Sync Technologyは、現在20社のディスプレイパートナーが存在し、121もの対応製品が市場投入されているという。これは競合となるNVIDIAのG-syncに大きく水を開けているアピール。

Free Sync対応製品を投入している企業は20社で、競合であるNVIDIAのG-SYNCの8社を大きく上回っている

対応製品の数もFree Syncの方が多いとアピール

さらに、FreeSync対応ディスプレイの最新製品として、48~240Hzのリフレッシュレートに対応するBenQの24.5型フルHDディスプレイ「XL2540」や、40~144Hzに対応するAcerの27型WQHDディスプレイ「XF270HU」、48~100Hzに対応し、3,440×1,440ピクセルの出力に対応するSamsungの34型曲面ディスプレイ「C34F791」が市場投入される見通しであることを明らかにした。

近々市場投入予定のRadeon FreeSync対応ディスプレイの新モデル。まずはBenQの24.5型フルHDディスプレイ「XL2540」

Acerの27型WQHDディスプレイ「XF270HU」

Samsungの34型曲面ディスプレイ「C34F791」