米AMDは3日(現地時間)、同社が提唱するディスプレイ技術「Radeon FreeSync」の新機能となる「Radeon FreeSync 2」を発表した。HDR(High Dynamic Range : ハイ・ダイナミック・レンジ)時代のゲームをより快適にプレイできる環境を目指すという。
AMDでディスプレイ技術の開発を指揮するデイビッド・グレン氏(Senior Fellow Architect)は、「ゲームエンジンのHDR対応で、より現実的で自然な描画が可能になるが、ゲームをプレイするということで見ると、解決しない問題点も多い」と指摘する。
グレン氏によれば、HDRゲームの表示では、ゲームエンジン側でHDRレンダリングを行なった後、グラフィックスカードがトーンマッピングを行ない、そのデータをディスプレイ側に送る。しかし、このデータに対して、ディスプレイでもあらためてトーンマッピングを行なって表示するため、「ms単位の遅延が生じる」(グレン氏)という。
そこで、AMDは、ゲームエンジンがディスプレイ側のトーンマッピングを省略して、そのまま描画できるようにすることで、HDRゲームでも低遅延のプレイが楽しめるようにすべく、Radeon FreeSync 2 Technologyを開発。これを、現行のFreeSyncとは別規格として推進していく。
つまり、動的にディスプレイとの同期を図るFreeSyncとは別に、FreeSync 2はHDRゲーム向けのディスプレイ技術として併存することになる。
Radeon HDRトーンマッピングSDKのデモ。FreeSync 2対応ゲームタイトルも、このSDKを利用してゲームのHDRレンダリングを最適化することで、ディスプレイ側のトーンマッピング省略を図るのだという |
また、グレン氏によると、Free Sync Technologyは、現在20社のディスプレイパートナーが存在し、121もの対応製品が市場投入されているという。これは競合となるNVIDIAのG-syncに大きく水を開けているアピール。
さらに、FreeSync対応ディスプレイの最新製品として、48~240Hzのリフレッシュレートに対応するBenQの24.5型フルHDディスプレイ「XL2540」や、40~144Hzに対応するAcerの27型WQHDディスプレイ「XF270HU」、48~100Hzに対応し、3,440×1,440ピクセルの出力に対応するSamsungの34型曲面ディスプレイ「C34F791」が市場投入される見通しであることを明らかにした。