同じ東京都内でも、住んでいる区によって支援制度は違っています。今回は東京23区の中でも、子育て支援制度に注目し、中でも特に子育てがしやすいと人気のある6つの区をピックアップしました。

一口で子育て支援といっても内容はそれぞれです。今回は子育てをしている世帯に手厚いサービスがあるかどうかに注目。各自治体などの制度を参考に、以下の3つの視点からチェックしてみます。

■チェックポイント
1)助成などの支援制度があるか
2)子供が遊びやすい環境が整っているか
3)保育園に入れるかどうか

荒川区

荒川区では、区が認定したオムツ替え・授乳スペースとして「あらかわベビーステーション」を設置しています。これなら、場所探しに困ったり周りの目を気にしたりする必要もありませんね。また、ボランティアサークル「35(産後)サポネット in 荒川」が運営する子育てスペース「みんなの実家@まちや」もあり、実家のようにくつろぎながら利用することができます。

「あらかわキッズ・マザーコール24」は、妊娠中や育児について、看護師資格を持った専任スタッフが24時間365日無休・通話料無料で相談に乗ってくれるサービスです。急に子供の体調が悪くなった……そんなときでも安心です。

荒川区には、23区内で唯一の区立遊園地である「あらかわ遊園」などがあります。公立なので入場料が大人200円、小中学生無料(いずれも春・夏・冬休みを除く平日料金/土・日・祝及び春・夏・冬休みは大人200円、小中学生100円)と非常に安いのも家族連れにはうれしいポイントですね。

江東区

江東区で注目すべきは、入院助産制度です。これは出産費用に困っている人に費用を助成する制度で、出産時の不安がぐっと軽くなります。また、子供家庭支援センターでは様々な支援活動を行っており、子育てひろばの解放や子育て相談の受付、母親(父親)講座、ボランティア講座・学習会、児童虐待対応など、その範囲は多岐にわたります。加えて、認可保育園に3人とも同時に在園している場合、保育料が第3子以降無料となるのもうれしい点です。

江東区には子供向けの遊び場もたくさんあります。「東京都水の科学館」「リスーピア(理数体験ミュージアム)」など、雨の日でも遊べる体験型ミュージアムがあり、子供の好奇心を刺激してくれること間違いなしです。

荒川区・江東区の場合

練馬区

練馬区では、「第3子誕生祝金」として、第3子以降が誕生すると1人につき20万円がもらえます。保育園・幼稚園の費用のために計画的に貯蓄しておくのも良いですね。1歳未満の子供のいる家庭には「子育てスタート応援券」が発行され、育児支援ヘルパーやファミリーサポート、乳幼児一時預かりなどに使用できます。働くママに役立つ制度といえるでしょう。

また、「ぴよぴよ・民設子育てのひろば」という名の、0歳から3歳の乳幼児とその保護者の方を対象とした施設があります。親子で自由に来所できるうえ、常に保育士などの有資格者が2名以上おり、生活や遊びなどの子育て相談も受けています。

練馬区には「光が丘公園」「石神井公園」などの大きな公園があり、緑豊かな環境でのびのびと子育てできる点も注目です。

千代田区

千代田区では、「誕生準備手当」として4万5,000円がもらえます。請求期間が"妊娠20週~1歳の誕生日の前日まで"と幅広い点に注目です。さらに、保護者が仕事を休めないときにベビーシッターを利用した場合の利用料金の半額を、1年あたり上限4万円まで支援する制度があります。こちらも働くママにはうれしいですね。

次世代育成住宅助成としては、区内に5年以上在住する親世帯の近所に住みかえる新婚世帯・子育て世帯に助成が支給されます。また、区内に1年以上在住し、区内に転居する子育て世帯を対象とした区内転居助成もあり、最大月額8万円の助成が最長8年までもらえます。

千代田区のレジャー施設には「富士見みらい館」があり、区民であれば大人400円、小中学生は200円で各種アスレチック施設が楽しめます。

練馬区・千代田区の場合

港区

港区では、出産費用の助成として上限60万円から出産育児一時金を引いた額が支給されます。分かりやすく言うと、出産育児一時金で支給される42万円を超えた分が、最大で18万円まで区から助成されるということです。また、妊娠中~産後1年まではコミュニティバスの無料乗車券が発行されます。

東京23区初の取り組みとしては、兄や姉が在園している場合に第2子以降の保育料が無料となることが挙げられます。平成28年4月からは認可外保育施設の保育料助成制度も実施しています。

港区には「芝公園」を始め、公園や児童遊園が多数あるので子供の遊び場には困りません。

大田区

大田区の子供家庭支援センター「キッズな大森」では、子育てに関する情報を交換できたり、時間制の乳幼児一時預かり保育を利用できたりと、心強いサービスがたくさんあります。出産・育児支援事業「かるがも」は、妊娠から出産、子育て期への切れ目ない支援として、妊娠期から専門職(助産師、保健師及び看護師)が継続して支援を行う取り組みです。

また、大田区には「平和の森公園」や「入新井西公園」「タイヤ公園」など、気軽に遊べる公園がたくさんあります。

港区・大田区の場合

23区の待機児童数を比較

働いているママなら、保育園の充実度も気になるところです。上記に挙げた6つの自治体は、いずれも都内23区の待機児童数ワーストランキング10以内に入っていません。保育園も子育て支援策が功を奏しているといえるでしょう。

都内23区の待機児童数ワーストランキング10

また、東京23区外でも充実した子育て支援制度を行っている自治体はたくさんあります。例えば兵庫県明石市、秋田県秋田市、香川県坂出市、岡山県備前市などでは、同じ保育園に入る第2子以降の保育料が無料になるなどの子育て支援策が充実しています。これは子供がたくさんいる家庭にはとてもありがたい支援です。

自分が住んでいる自治体にも充実した子育て支援制度があるかどうか、この機会に是非調べてみましょう。

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。