年末の大掃除の季節がやってまいりました。皆さんは、毎年掃除していますか? 賃貸のお部屋で一人暮らしをしていると、実家のように親兄弟に追い立てられることもなく、入居時にお部屋のクリーニングはしてあるし、そもそも自分は家事とかあんまりしないし1人しか暮らしてないからあまり汚れてないんじゃない?なんて掃除をお休みしている人もいるのではないでしょうか。しかし、掃除をサボっていると、退去時に痛い目をみることもあるかもしれません。そんな、「賃貸のお部屋で特に気をつけたいポイント」について不動産・住生活ライターの高田七穂さんにお話しを聞きました。
年末の大掃除。賃貸一人暮らしで特に気をつけるポイントは?
退去時のことを考えて掃除をしましょう。
家具を出したあとに、落ちない汚れがないよう、今のうちに隅々までチェックしておきます。
賃貸住宅でも、大掃除はしたいものです。「自分のものじゃないし……」と思っていると、敷金の返還割合にも関係してくることがあります。
なかでも注意したいのは、「カビ」です。これは徹底的に取り除きたい汚れの一つ。カビを放置しておくと、落ちにくくなります。壁紙が黒ずんだり、内部の木材を腐らせたりしてしまうことがあるからです。
国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」については、借りた側に原状回復義務が発生することが示されています。考え方としては、以下のようなものです。
「結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる」(同ガイドラインより)
カビは結露が生じることで発生します。このため、普段から結露をこまめに拭き取るクセをつけましょう。さらに、調理中は換気扇を回すクセをつけましょう。朝や帰宅時には、窓を開けて空気を入れ替えましょう。寒いからといって、換気口もふさがないようにします。そして、大掃除のこの時期、キッチンやお風呂の水回りをはじめ、家具の後ろや押し入れの内部、備え付けの棚の奥などにカビが生えていないかチェック。
とくに、北側の部屋の窓周辺には黒いカビが繁殖しやすいものです。カビを放置すると、上記のように壁紙に汚れが付着してしまうことがあります。なかには、時間がたつと簡単には取れないことがあります。漂白剤で変色したり、こすりすぎて壁紙がはがれてしまったりする可能性もあります。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォーム、空き家、住宅ローンなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる方法』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。『夕刊フジ』にて「住まいの処方銭」連載中。