JR貨物は2017年3月4日にダイヤ改正を実施する。専用列車の新設・増発、地域間の輸送力増強・速達化など多様なニーズに応え、きめ細かいサービスを提供。安全・安定輸送の推進、輸送品質向上を目的に機関車・コンテナ貨車・コンテナの新製・増備も進める。

来年3月のダイヤ改正で、トヨタ自動車の部品輸送専用列車「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」は再び2往復体制に

今回のダイヤ改正で、トヨタ自動車の部品輸送専用列車「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」が増発される。名古屋南貨物駅(名古屋臨海鉄道)と盛岡貨物ターミナル駅を結ぶ同列車は2006年に営業運転開始し、過去には増発されたこともあったという。現在、定期列車は盛岡貨物ターミナル駅22時30分発・笠寺駅13時16分着、笠寺駅12時35分発・盛岡貨物ターミナル駅7時15分着(ともに笠寺駅から名古屋臨海鉄道へ直通)の1往復が設定されている。

トヨタは新型コンパクトSUV「C-HR」の発売に合わせ、生産を岩手工場(トヨタ自動車東日本)で行うと発表。これにともなう自動車部品輸送の需要に対応し、「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」を増発して再び2往復体制とすることがJR貨物から発表された。ダイヤ改正で増発される列車の時刻は盛岡貨物ターミナル駅10時23分発・笠寺駅1時48分着、笠寺駅23時42分発・盛岡貨物ターミナル駅16時42分着。この列車も現在運転中の列車と同じく「20両編成・輸送力100個」とされている。

ダイヤ改正で東海地方と九州を結ぶ積合せ貨物輸送の専用列車も新設される。インターネットによる各種通信販売サービスの多様化を受け、宅配便を中心とした積合せ貨物が年々増加傾向にあり、ダイヤ改正で新設される列車も大手特積事業者の専用列車として運転されるという。名古屋貨物ターミナル駅23時28分発・福岡貨物ターミナル駅12時47分着、福岡貨物ターミナル駅22時51分発・名古屋貨物ターミナル駅12時40分着の1往復設定され、15~20両編成で輸送力75~100個とされている。

その他、2016年3月ダイヤ改正から運転開始した東京貨物ターミナル~吹田貨物ターミナル間コンテナ列車の神戸貨物ターミナル駅への延長、要望の多い地域間の輸送力増強(関東・関西間、新潟・九州間、新潟・東北間)、主要都市間を走るコンテナ列車の速達化などを進める予定となっている。JR貨物は列車の速達化とともに定時運行率の維持・向上にも努めており、2015年度の定時運行率は94.4%だったとのこと。

青函トンネル経由の貨物列車を牽引する電気機関車EH800形

ハイブリッド機関車HD300形は貨物駅構内の入換え作業に使用される

ダイヤ改正に合わせて新製投入する機関車は8両。青函トンネルの共用走行区間(AC25kV / 50Hz)と在来線区間(AC20kV / 50Hz)の双方に対応する複電圧方式の交流専用電気機関車EH800形を3両、貨物駅構内での貨車の入換え作業に使用するシリーズ式ハイブリッド機関車HD300形を5両投入する予定だ。その他、コンテナ貨車コキ107形を413両、コンテナを計4,040個(両側開きタイプの19D形を2,000個、妻側開きタイプの19G形を2,000個、31フィートウィングタイプの49A形を40個)新製する。