完成度を高めた「b.g.」プロトタイプを決算発表会の場で公開

メガネスーパーは、12月15日に行われた2017年4月期 2Q決算発表会において、「視覚拡張」をキーコンセプトとしたメガネ型ウェアラブル端末「b.g.」の最新プロトタイプを公開した。b.g.は、メガネスーパーが過去40年間に培ってきたアイケアのリソースをベースにしている。なお、2016年のウェアラブルEXPOにてプロトタイプの発表を予定していたが、完成度が低かったということで、展示はしたものの記者発表会は中止になっていた。

メガネスーパー 代表取締役社長の星﨑尚彦氏。手に持っているのがb.g.のプロトタイプ

決算発表会で披露されたb.g.のプロトタイプ。1月のウェアラブルEXPOから大きく進化した

今回の最新プロトタイプは、左右2つのディスプレイを搭載したノンシースルータイプ。両眼視を前提とした設計と目の負担の軽減が考慮されている。専用のメガネフレームを設計して、メガネならではのかけ心地とディスプレイ部の固定感を両立させたという。また、人によって瞳の位置が異なるため、ディスプレイ位置に可変性を持たせ、着用感を重視して前後と左右のバランスにこだわった。

デイスプレイデバイスには、1/2インチ有機ELパネル(1,024×768ドット)を使用しており、信号入力はMicro HDMIだ。メガネ部分と有線接続した専用ケースに、スマートフォンを接続して動作させる。プロトタイプではiPhone 6sを使用していた。ディスプレイ用の電源として、専用ケース内にバッテリー(1,865mAh)を内蔵する。これで約2時間の動作が可能だ。

反対側から見たb.g.。ディスプレイ部は上下に移動可能で、視界を妨げない使い方が可能

b.g.を装着した星﨑社長。今回のプロトタイプはB2B用として機能を重視しており、B2C向けはまったく別のアプローチになるとのこと

こだわるのは「かけ心地」と「見え方」

メガネスーパーの東原氏が強調したのは「かけ心地」と「見え方」だ。他社からもウェアラブルグラスは登場しているが、「メガネ屋の視点でいえば装着感が悪く、また単眼(左右どちらかのディスプレイ)仕様は目に負担をかける」(東原氏)と話す。

そこでb.g.は、福井県・鯖江市のBOSTON CLUBと提携し、専用のメガネフレームを設計(鯖江市はメガネ作りで有名)。また、両眼ディスプレイとすることで目の負担を軽くしつつ、上下に動くディスプレイにすることで、メガネとしても使えるようにした。もうひとつ、目の負担という面では、あえてノンシースルーにして、ディスプレイの先にある実風景を見えないようにもしている。b.g.は「beyond glasses」の略だそうだ。

今回のプロトタイプは、iPhone 6sを取り付けている専用ケースから2つのMicro HDMI出力を取り出すが、現時点では左右同じ画像を表示する。ただし、専用ケースとiPhone 6sが必須ではないという。軽量化のために現在はメガネ部にバッテリーを搭載せず、有線で接続している。

メガネスーパー 取締役の束原俊哉氏

b.g.の特徴。目の負担を考え、両眼視でノンシースルー。メガネ部は独立しており、「視力補正」としても使える

先述の通り、キーコンセプトは「視覚拡張」だ。会場では、視力検査図を判定する「視力4.0」やARを利用した作業補助のデモが行われた。

現在のb.g.は、ある程度の市場が見込めるB2Bがターゲット。例えば、b.g.を使うことによって、高度な指示や熟練者ノウハウの伝達、経験値の補完を実現し、生産性の向上を目的とする。すでに各領域で実証実験が可能な状況になっており、2017年から展開する予定。なお、B2C市場向けの製品は「見た目や機能も含めて別のアプローチが必要」(担当者)ということで、将来的な話になるそうだ。

「視覚拡張」をキーコンセプトとして開発し、見えるもの・見えないものを拡張表示

「ハンズフリーで生産性を向上」という点に主眼を置いた設計で、まずはB2B市場での普及を目指す

2017年は実証実験と受注予約を積み上げて、2018年春ごろからの出荷開始を想定。価格は10万円前後とのこと

アイケアとウェアラブルの両方ができるのは世界でもメガネスーパーだけと強調

具体的なスケジュールとしては、2017年1月に行われる第三回ウェアラブルEXPOに出展。5つのデモを用意し、実証実験の検証企業を募るという。実証実験を通じたフィードバックをもとに2018年から販売し、「当面の目標は10億の売り上げ」とした。

視覚拡張として「視力4.0」をデモ。会場の片隅に公認フクロウの「フクタン」が

カメラをズームアップすると何やら持っている……

b.g.を装着した星﨑社長はカメラを通じてフクタンの拡大画像を見る。「右!」正解