2017年1月よりTVアニメ・実写ドラマそれぞれで放送がスタートする『クズの本懐』より、TVアニメ版から声優・安済知佳と島崎信長が、ドラマ版から女優・吉本実憂と俳優・桜田通が、12月15日に都内で行われた「ノイタミナプロジェクト発表会2017」のステージに登壇し、作品をアピールした。

TVアニメ版『クズの本懐』で安楽岡花火を演じる安済知佳

原作は、漫画家・横槍メンゴ氏が、漫画雑誌『月刊ビッグガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載している同名コミック。好きな相手は別にいるものの、寂しさを紛らわせるために同じ学校の男子・粟屋麦と付き合っている女子高生・安楽岡花火が主人公で、彼女や周囲の人間の情念が交錯し、さまざまな関係に落ちていく純粋で歪んだ人々の恋物語を描く。

イベントには、まずアニメでの花火役の安済と麦役の島崎が登場。演じる花火と同じヘアスタイルにセットしてきたという安済は、花火を「見た目はそんなに違和感を感じない……どこにでもいそうな女の子」と前置きしながらも「すごく純粋でまっすぐで一途。なんですが、『純粋をこじらせるとこうなっちゃうのか』というタイプ」とその複雑なキャラの魅力を紹介した。

アニメ版で粟屋麦を演じる島崎信長

島崎も、麦は「色々あって思春期をこじらせている少年」と口を揃え、「花火と同じく昔から好きな人がいるんです」とも説明。また、「麦も花火も、お互い(思い人に)届かないんじゃと気付いて、『僕たちで慰め合おうか』ということになり……」と2人の危なげな仲を明かして、苦笑しながらも「互いが本当に好きな人の代わりの存在なので、"かけがえのある恋人"という言葉が出るくらいの関係性なんですよ」と強調した。

ここで、当日初公開となったアニメの第2弾となるPVを上映。2人のキスシーンや、抱き合いながらも醒めた面持ちを見せる花火の表情などが映し出されると、会場は静まりかえり、司会の吉田尚記アナウンサーも思わず「やべぇ」と一言。「本当に原作のあんなシーンやこんなシーンをやるんですか?」と問われるも、安済は「やり遂げます。さらけ出します」と気合十分。一方で、家族に本作で主演すると告げて、作品内容を聞かれた際、「純粋な恋愛ものだよ」とお茶を濁したエピソードも披露し、会場の笑いを誘った。

ドラマ版で花火を演じる吉本実憂

さらに、実写ドラマで花火を演じる吉本と麦を演じる桜田が登場。アニメを観た際の感想として、吉本は「花火というキャラを良い意味で裏切られた。改めて撮影を頑張ろうと思いました」と大きな刺激を受けたことを明かした。一方、原作からの大ファンという桜田は「1話が本当に良すぎて、観終わった後に『これと一緒に放送されるのか』と光栄さとプレッシャーを一気に感じてしまいました」と武者震いしながら、「良い影響を与えてもらってドラマのクオリティも高めたい」と意気込んだ。

対して、アニメ版キャストとして実写映像を観た島崎は、「TVドラマでここまで真正面からやるのか」と衝撃を受けたことを思い返し、「アニメも作品のテーマを表現するためにぶつかっているつもりだったんですが、御二人の作品への思いが伝わる体当たりの演技を見せられて、『負けてられない』と感じました」と絶賛。安済は、「学校とか若さとかのキーポイントが実写だと鮮明になっている」と新たな発見があったようで、「狭いコミュニティのこじれていった恋模様を、実写でバン!と見せられると『なるほど』と思ってしまうところがあった」「私もより体当たりでアフレコに向かいたい」と力強く語った。

ドラマ版で麦を演じる桜田通

最後に、安済は「共感できない方が良い作品だと思います。でも誰でも、どんな純粋な人でも少し間違ったらクズになって共感してもらえる部分があります。そんなところも感じ取ってみてください」とコメント。島崎も「思わず目を背けたくなるような描写や胸が痛くなるシーンが多い作品」としつつ、「ちゃんとそれぞれを積み重ねていって、最後に表現したいテーマや答えを、原作、アニメ、ドラマ全てで表現しきって皆さんに届けるので最後まで期待してください」と呼びかけた。

また、イベントでは、原作コミックが2017年春に完結することも発表。アニメもエンディングまで描くことが明かされた。TVアニメ『クズの本懐』は、2017年1月12日より、フジテレビ「ノイタミナ」枠で毎週木曜24時55分(初回放送は25時10分から)、実写ドラマは同月18日より、同局で毎週水曜25:55から、それぞれ放送がスタートする。


(C)横槍メンゴ/SQUARE ENIX・「クズの本懐」製作委員会