ソニーモバイルは12月13日、ソニー・ミュージックエンタテイメント(SME)乃木坂スタジオにてXperiaユーザーに向けたロイヤルカスタマーイベント「au×Xperiaオーナーズパーティー」を開催。あわせて、ハイレゾ対応を進めるXperiaシリーズの特長や、ハイレゾ再生の普及に向けてのソニーグループ内での取り組み状況を紹介するメディア向け説明会を実施した。
ソニーモバイルからは、マーケティング部統括部長の杉山博康氏が登壇、スマートフォンによるハイレゾ再生を拡大するための取り組みを紹介した。
Xperiaのアドバンテージは、「CDやMP3などの圧縮音源をハイレゾ相当に変換するソニーの独自技術『DSEE HX』を搭載している点」(杉山氏)と、Xperiaにおけるハイレゾ再生がソニーグループを挙げての取り組みであることを説明。また、外付けのDACを使わず端子にヘッドホンを差し込むだけでハイレゾ再生できることがメリットであると話した。
Xperiaシリーズでは、2014年発表の「Xperia Z3」からハイレゾ再生に対応。以降対応モデルが追加され、2015年10月末時点の累計販売台数は431万台、2016年10月末時点では2倍以上の944万台と、ハイレゾ再生が可能なXperiaは約1,000万台を超えている。
ソニーモバイルの調査によれば、スマートフォンでよく音楽を聴く人は約1,360万人(契約者8,000万人にスマートフォンでよく音楽を聴く人の比率17%を乗算)とのこと。さらにWebアンケートを実施したところ、スマートフォンの音楽再生機能に対する考え方は、競合他社製品のユーザーと開きがあり、Xperiaユーザーで「音質がよい」ことを重視する人は約49%(競合他社製品は29%)、「ハイレゾ楽曲が楽しめる」は28%(同7%)と、「Xperiaユーザーは音質重視ということを実感した」(杉山氏)結果になったという。
Xperiaシリーズにおけるハイレゾ対応を進める過程で、ソニーモバイルでは2015夏以降からハイレゾ対応をアピールするテレビCMをオンエア。出演したミュージシャンの音源をまとめ、音楽配信サービス「mora」において「VOICES」というコーナーで無償公開している。
mora取り扱いのハイレゾ楽曲を試聴するタッチ・アンド・トライイベントはこれまで各地で実施され、累計3万人が参加。Xperia Z3発売以降は、ダウンロードクーポンを配布するなど、コンテンツプロバイダと協力する形でもハイレゾ促進のプロモーションを展開してきたという。
moraを運営するレーベルゲート配信ビジネス部の中川雄策氏は、「新しい端末が発売されるたびにダウンロード数が大きく増加した」と、Xperiaシリーズとの相乗効果があることを紹介。Xperia Z3発売以降は、それまでアルバム単位での購入が多かったところが単曲販売が増加。楽曲を提供するレコード会社も単曲販売に積極的に応じた結果、アルバム売上はハイレゾ配信開始から3年間で7倍となったが、単曲売り上げは39倍にまで増えたという。
2016年8月以降は「レコチョク」や「auうたパス」でのハイレゾ配信もスタート、より広い層に普及するのではと市場拡大への期待を示した。11月にユーザーアンケートを実施したところ、スマートフォンで聴く人のうちXperiaユーザーが約72%という結果となり、Xperiaでハイレゾを楽しむ層の多さを実感したという。
最近の取り組みとしては、e-onkyo musicとVictor Studio HD-Music.、OTOTOYとの4社合同企画「ハイレゾ音源大賞」を紹介。moraの年間ハイレゾランキングも紹介され、単曲では1位が宇多田ヒカル「花束を君に」、2位がRADWIMPS「前前前世(movie ver.)」、3位が宇多田ヒカル「真夏の通り雨」。まとめ買い(アルバム)の1位も宇多田ヒカル「Fantome」となり、新譜をハイレゾ/ダウンロードで入手する層の増加をうかがわせた。
今後については、「2020年には5Gの通信環境が整うことを考えると、やがてハイレゾが音源としてスタンダードになるはず。Xperiaとは、ハイエンドのヘッドホンと組み合わせるなどしてキャンペーンを展開したい」(中川氏)と語った。
制作サイドからは、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ レコーディング&マスタリングエンジニアの鈴木浩二氏が登壇、ハイレゾへの取り組みについて紹介した。
SME乃木坂スタジオでは、マイクロホン「C810」やモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」など多数のソニー製品が採用され、マスタリングではハイレゾ用アプリケーション、オーサリングではビデオの機材やアーカイブシステムが使われているという。
ハイレゾへの取り組みについては、「サウンドエンジニアはアーティストが伝えたい思いをどのような環境においても届くように、正しく聞こえるように音を調節している」(鈴木氏)と述べたうえで、スタジオに設置された大型機材だけでなく、ハイレゾ対応の小型アクティブスピーカー、イヤホン、ウォークマン、Xperiaなど、パーソナルリスニング用の機材でも試聴を重ねていると説明した。
auと共催のカスタマーイベント「au×Xperiaオーナーズパーティー」では、来場者にXperia XZのヘッドフォン端子から出力した音(moraで販売しているハイレゾ音源)を聴かせ、スタジオという音の表情が現れやすい環境でも利用できるポテンシャルがあることを披露。ハイレゾの微細な音を表現するためには、ノイズ対策などアナログ変換後の処理が重要であり、そこでソニーで長年培われたアナログのオーディオ技術が生かされていることが説明された。
その後、実際にXperiaユーザーであるアーティストがハイレゾについて語るテレビCMに出演中のバイオリニスト、Ayasaさんが登場。実際にXperia X Performanceを愛用しており、「ハイレゾではレコーディング時の細かい音までチェックできる」とそのメリットを語った。