妊娠・出産に際して、お金のことも心配なもの。現在、出産育児一時金として健康保険組合から子供1人につき一律42万円をもらえますが、それ以外にも自治体独自の支援が充実してきています。今回は、東京23区がそれぞれ設けている支援制度の中で、特徴的なものをご紹介しましょう。
妊娠前の助成
港区では特定不妊治療費用助成として、妻が43歳未満の場合1年当たり30万円までを補助しています。通算5年まで助成を受けることができ、最大で150万円をもらえる計算に。経済的な理由で不妊治療を諦めてしまうケースもある中、とても心強い制度です。
妊娠中の助成
妊婦健診費の助成として、全国各市区町村の自治体では妊婦健診費を原則14~16回まで一部を負担しています。ただし、助成金額は住んでいる市区町村によって様々です。例として、板橋区などでは8万5,460円となります。妊婦健診は公的健康保険の対象外のため高額になりがちですが、会計窓口で助成券を提出すると自己負担額は少なくて済みます。ただし、受診費がゼロになるわけではありません。基本的に母子手帳をもらうと助成券もセットで配布されます。
その他に、千代田区では、誕生準備手当として4万5,000円がもらえます。請求期間が妊娠20週~赤ちゃんの1歳の誕生日の前日までと幅広い点に注目。出産の準備品をそろえたり、あるいは育児グッズを買ったりなど様々なことに使えそうです。
中央区では、出産支援祝品として妊婦さんが使えるタクシー利用券1万円分が支給されます。妊娠週数が進んでおなかが大きくなってくると、移動もなかなかつらいもの。特に都心部では、電車も混んでいていろいろと不安を感じる方もいるかもしれません。そんなときにもタクシーで移動できれば安心です。
出産時の助成
港区では、出産費用の助成として上限60万円から出産育児一時金を引いた額が支給されます。わかりやすく言うと、出産育児一時金で支給される42万円を超えた分が、最大で18万円まで区から助成されるということです。出産時にトラブルがあったり、入院が長引いたりしても、お金の心配が軽減されれば精神的にも大きな支えになります。
出産後の助成
こちらは働くママのみがもらえる制度になりますが、産後も仕事を続ける人に会社の健康保険から支払われるのが出産手当金です。例えば、月給20万円で働く会社員のママの場合、その額は約43万5000円になります。なお、会社を退職することになっても、退職日までに1年以上健康保険に加入しており、かつ出産予定日の42日以内に退職した場合には出産手当金をもらうことができます。
区ごとの制度としては、練馬区が第3子誕生祝金を支給しており、第3子以降1人につき20万円をもらうことができます。子供はたくさん欲しいけれど、その分お金もかかるし……といったお悩みも、これがあれば助けになってくれますね。
中央区では、新生児誕生祝品として赤ちゃんが生まれた人にハッピー買物券を支給しています。区内共通買物券3万円分がもらえ、育児グッズをそろえるのにうれしい制度です。
以上、東京23区で注目の妊娠・出産支援制度をご紹介しました。この他にも自治体ごとにユニークな制度がたくさんありますが、申請しないと支給されないものもあるので、知らないと損をしてしまうかもしれません。自分のお住まいの自治体でも妊娠・出産支援制度があるのかどうかをぜひ調べてみてください。
株式会社回遊舎
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。