前回は、「Bamboo Slate」のデータを複数のデバイスで同期・活用できるクラウドサービス「Inkspace」について解説した。今回は、有料プラン(Inkspace Plus)の「Ink Collaboration」(以下、インク・コラボレーション)の機能を見ていこう。
インク・コラボレーションは、「Bamboo Slate」で書いたデータに対して、複数のメンバーが文字などを書き加えられる機能で、リアルタイムで画面に反映されるのが特徴だ。イメージとしては、会議室のホワイトボードや、模造紙を広げてみんなで書き込む作業に近いだろう。
インク・コラボレーションの使い方
インク・コラボレーションは、スマホアプリの「Wacom Inkspace」からでも、パソコンのWebブラウザからでも利用可能。吹き出しを重ねたようなマークをタップしてスタートする。メールアドレスを指定して、作業に加えたいメンバーを招待するが、発行されるURLのリンクをSNSなどで直接伝える方法もある。招待される側は、有料アカウントを持っている必要はない。ただし、SNS経由で招待された場合も含め、ログイン時にはWacom ID(登録したメールアドレス)が必要となる。
既にあるものに加筆・修正できる
共有できる操作は、ペンやマーカーでの書き込み、消去、指定した箇所の移動など。「Bamboo Slate」で書き込んだ筆跡(内容)はあくまでもベースであり、作業はスマホやパソコンから行う(「Bamboo Slate」そのものでこの作業に加わることができない)。わかりやすい例として、紙とペンで遊ぶゲーム(四目並べ)を試してみた。
「Bamboo Slate」で書いたのは、6×6の盤。これを2人で共有し、それぞれ別の色を決めて対戦した。ゲームアプリのように、きれいな「●」がいきなり表示されるのではなく、手塗りされる筆跡が生々しく見える。その速度には、きっと心理状況なども反映されるだろう。
そう、手書き文字には個性が表れるので、3人以上でも誰が書いているか、どんな気持ちで書いているかが伝わる。勢いよく大きな「×」を書かれれば、完全にダメ出しされたとわかるわけだ(笑)。
ラフの確認やデザイン案の修正に便利
純粋に文字や数字のみを共有するのであれば、Googleドキュメント等のほうが効率的。インク・コラボレーションは、絵や図といった言葉による指示が難しい対象に向いている。たとえばイラストやデザインのラフを共有してブラッシュアップする。そうしたクリエイティブな作業には最適だ。
下にデザインを修正するイメージを掲載したが、似たような修正指示は、画像やPDFファイルをメール等で送信してもできるかもしれない。ただ、メールはいつ開かれるかわからず、何度もデータを往復するのは大変だ。メールよりもチャットやメッセンジャーのほうが、リアルタイムかつ精神的に気楽にやりとりできる。同じようなメリットが、インク・コラボレーションにはある。
ひとつ難点なのは、小さなスマホの画面やパソコンのタッチパッドでは、インク・コラボレーションで文字を書き込むのがストレスになること。やはり精度の高いスタイラスペンが欲しくなる。というより、ワコムとしてはそれが前提なのだろう。そうか、これもスタイラスのパソコンやペンタブレットをさらに普及させようとする戦略なのだな。
次回は、遊び心ある年賀状の作り方についてお送りします。 |
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