スパークス・アセット・マネジメントは12月8日、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2016」の結果を発表した。調査は11月9日~13日、全国の20~79歳の投資経験者を対象に、インターネットリサーチで実施し、1,000名の有効サンプルを集計した。

現在投資している金融資産は「日本株式」が最多

「現在の投資状況」「投資の経験年数」

現在の投資状況について聞いたところ、「現在、投資をしている」と回答した"現役投資家"が78.8%、「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と回答した"投資離脱者"が21.2%となった。

また、投資の経験年数について聞いたところ、現役投資家では、「1年未満(今年、投資を始めた)」は9.9%、「1~3年程度」は22.8%、「4~6年程度」は16.9%、「7~9年程度」は9.5%、「10年以上」は40.9%だった。投資離脱者では、「1年未満」は16.0%、「1~3年程度」は29.7%で、3年以下が合計で45.7%となった。

現役投資家に、現在投資している金融資産について聞いたところ、現役投資家の最多回答は「日本株式」で73.9%、次いで、「投資信託(「REIT」以外)」47.5%、「外貨(外国為替証拠金取引(FX)を含む)」23.2%が続いた。

「現役投資家が現在、投資している金融資産」「投資離脱者が過去に投資していた金融資産」

さらに、投資離脱者の投資対象を経験年数別にみると、3年以下で投資をやめた人は4年以上続けた人に比べて「日本株式」(3年以下52.6%、4年以上68.7%、以下同順)や「投資信託」(30.9%、39.1%)に投資していた割合が低く、「外貨」(27.8%、17.4%)に投資していた割合が高くなった。

2016年は個人投資家にとって厳しい相場

株式投資家に、2016年の日本株式市場を表す漢字1文字を自由回答で聞いたところ、1位はダントツで「乱」(112名)、次いで2位「迷」(35名)、3位は同数で「変」と「忍」(20名)が選ばれた。

「2016年の日本株式市場を表す漢字1文字」

また2016年、積極的に投資を進めようと思うきっかけとなったニュースを自由回答で聞いたところ、1位は「アメリカの大統領選挙関連」(164名)、次いで、2位「日銀の金融政策関連」(103名)で具体的には、「マイナス金利導入」や「日銀のETF買い入れ増額」といった回答が多く挙げられていた。3位は「Brexit(イギリスの欧州連合離脱)関連」(82名)が続いた。

反対に、2016年、投資に対して消極的になるきっかけとなったニュースを自由回答で聞いたところ、こちらも1位は「アメリカの大統領選挙関連」(291名)に。次いで、2位は「Brexit関連」(196名)、3位は「為替の値動き関連」(76名)がランクインした。

「投資家の心理に影響を与えた2016年の重大ニュース」

今年1年の投資の損益着地予想を聞いたところ、「大幅にプラス着地」は2.0%、「ややプラス着地」は25.4%で、プラス着地は合計で27.4%となった。一方、「ややマイナス着地」は29.3%、「大幅にマイナス着地」は16.2%で、マイナス着地は合計で45.5%に。また、「プラスマイナスゼロ着地」は27.0%だった。

同様の質問を行った昨年の調査結果(49.7%)と比較すると、プラス着地は昨年比で20ポイント以上少なくなっていることがわかる。今年は個人投資家にとって、厳しい相場だったようだ。

「2016年の投資の損益着地予想」

"いい投資"につながるのは?

2016年の投資を振り返って、どのような投資が"いい投資"につながったと思うか聞いたところ、上位に「自身に知識がある分野(勉強して知識をつけた分野)の投資」(24.6%)や「将来の成長を期待した投資(長期保有など)」(24.5%)、「ほったらかしで済む投資(投資信託やシステムトレードなど)」(22.2%)といった回答が挙がった。

損益着地予想別にみると、プラスの人は「自身に知識がある分野の投資」(36.1%)や「将来の成長を期待した投資」(30.6%)のほか、「特典が期待できる投資(株主優待など)」(20.8%)や「トレンドをつかんだ投資(上昇基調の対象への投資など)」(22.7%)、「自身の投資ルールを遵守した投資」(16.2%)などが高くなった。

「2016年の投資を振り返って、どのような投資が"いい投資"につながったと思うか」

2017年の日本経済「明るい」は2割

2017年の日本経済の展望は、明るいと思うか、暗いと思うかを聞いたところ、「非常に明るい」は1.9%、「やや明るい」は18.1%で、明るいは合計で20.0%となり、「やや暗い」は28.9%、「非常に暗い」は9.2%で、暗いは合計で38.1%となった。

2017年の展望について聞いたところ、「日本はインフレ傾向にある(物価が上がる)」では同意率が52.5%、「実質賃金は上昇傾向にある(物価上昇の負担を賃金上昇が上回る)」では31.8%、「働き方改革(長時間労働の抑制や女性の活躍推進)に取り組む日本企業が増える」では51.3%、「日本で今より個人投資家が増える」では40.9%となった。

株式投資家に1年後(2017年12月末)の日経平均株価の予想を聞いたところ、「1万6,000円台」(16.7%)や「1万7,000円台」(18.0%)、「1万8,000円台」(16.3%)に回答が集まった。平均を算出すると、1万7,259円となった。さらに、4年後(2020年)の12月末の日経平均株価の予想を聞いたところ、「1万8,000円台」16.3%や「1万9,000円台」15.3%、「2万円~2万5,000円未満」26.9%に回答が集まった。

「日経平均株価の予想」

成長に期待が持てそうな産業は?

"今後、長期的に成長の期待が持てそうだ"と感じる産業について聞いたところ、「ロボット工学(家庭用・産業用ロボットやドローンなど)」(48.4%)や「知能化技術(AI・自動運転車など)」(47.4%)、「環境エネルギー(水素燃料など)」(39.0%)、「バイオ・創薬」(33.3%)や「先進医療(再生医療・遺伝子治療など)」(30.7%)が続いた。年代別にみると、20代は「ゲーム(VR・位置情報ゲームなど)」が29.0%で、その他の年代よりも高かった。

「"今後、長期的に成長の期待が持てそうだ"と感じる産業」

株式投資家に、2017年に最も成長が期待できそうな"有望株"(企業)を自由回答で聞いたところ、最も多かったのは、今年で3年連続過去最高益を更新した「トヨタ自動車」(77名)。次いで、2位は「ソフトバンクグループ」(25名)、3位は「任天堂」(18名)、そのほか、3年ぶりに黒字回復をし、VRゲーム端末を発売した「ソニー」(4位、15名)や、今年新規上場を果たした「LINE」(6位、7名)といった回答も上位にランクインした。

「2017年に、最も成長が期待できそうな"有望株"」