Appleは、App Store、iTunes store、Apple Music、Apple TV App Store、Mac App Storeにて販売された音楽、映画、本、アプリ(iPhoneアプリ、iPadアプリ、Apple TVアプリ、Apple Watchアプリ)の「Best of 2016」を公開した。
今年は、ランキングも考慮した形でAppleのエディターが独自に選ぶ、本当にベストと思われる音楽、映画、本、アプリが選出されている。
まずは「ミュージック」から。Singleは、2012年にニューヨークで結成されたDJユニットThe Chainsmokersの"Closer (feat. Halsey) - Single"が選出された。iTunes/Apple Music スタッフが選んだ今年のベストソングは、女性シンガーのホールジーをフィーチャー。歌詞でも触れられているBlink-182のファーストアルバムにインスパイアされ生まれたという曲だ。独特のプロダクションスタイルと、繰り返し聴きたくなるキャッチーなメロディに彼ららしい魅力が凝縮されている。EDMのニュースターとして脚光を浴びた彼らだが、今後はシーンを牽引していくような存在となることだろう。Albumは平井大の"Life is Beautiful"が選ばれた。アコースティックな響きが心地よいタイトルナンバーをはじめ、ジェイソン・ムラーズの"I'm Yours"のカバーなどタイプの楽曲が並ぶ。
映画とBookでは、それぞれ10作品がピックアップされている。選出されたタイトルは以下の通り。
映画
- 『オデッセイ』
- 『ズートピア』
- 『エクス・マキナ』
- 『アイ アム ア ヒーロー』
- 『ボーダーライン』
- 『マネーショート 華麗なる大逆転』
- 『キャロル』
- 『海よりもまだ深く』
- 『スポットライト 世紀のスクープ』
- 『さざなみ』
Book
- 『コンビニ人間』
- 『Vector Ball』
- 『<インターネット>の次に来るもの』
- 『ミッドナイト・ジャーナル』
- 『サブマリン』
- 『ねこのおうち』
- 『ギケイキ』
- 『ラスト・ウェイ・アウト』
- 『サピエンス全史』
- 『やがて恋するヴィヴィ・レイン』
映画は第88回アカデミー賞の受賞作、ノミネート作品がズラリと並んだ。この中で、おススメなのは、同賞、撮影賞、作曲賞、音響編集賞にノミネートされたドゥニ・ヴィルヌーブ監督の『ボーダーライン』だ。個人的には『ロブスター』『マジカル・ガール』『ルーム』あたりを邦画全部外してでも入れて欲しかった。
Bookは第155回芥川賞受賞作である村田沙耶香の『コンビニ人間』をはじめ、バラエティに富んだランナップ。映画部門で選出された作品で未見なのは2本なのに対し、恥ずかしながら、この中で読んでるのは"Wired"の元編集長、ケヴィン・ケリーによる『<インターネット>の次に来るもの』だけ。『紙の民』たる筆者は電子書籍をあまり買わないので、今年発売された作品でおススメできるものは殆どないのだが、一冊だけ挙げるとしたら、「金玉潰しのお龍」などの奇妙な人物が、名前だけ登場する、蓮實重彦の三島賞受賞作『伯爵夫人』だろうか。
続いてiPhone/iPadのアプリとゲームアプリ。こちらもそれぞれ10本がピックアップされている。
iPhoneアプリ
- Standland
- Prisma – Art Filters and Photo Effects for Images, Picture Editor for Instagram
- smooz
- アルゴリズム図鑑
- PEAK brain training
- Folioscope
- codebelle
- シンクル:趣味を話せる、趣味友達がみつかる共感コミュニティー
- Pathee
- Ulysses
iPhoneゲームアプリ
- Clash Royale
- TIME LOCKER
- Reigns
- INKS
- 聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-
- Rodeo Stampede - Sky Zoo Safari
- twofold inc.
- Klocki
- Mr. Crab 2
- Steppy Pants
iPadアプリ
- Medly - Music Maker
- Pigment
- PlayGround
- Toca Dance
- SPACE by THIX
- CHOMP
- Model 15
- Pennies
- MyScript Nebo
- 社会科1米作り
iPadゲームアプリ
- Samorost 3
- Deus Ex GO
- Mini Metro
- BattleHand
- Never Alone: Ki Edition
- PinOut!
- PKTBALL - Endless Arcade Smash Sport
- Flipped Out
- Voez
- Abyssrium
この中で注目は、とかく座りっぱなしになりがちな日々を、楽しみながら健康的に過ごせるようにしてくれるStandlandだ。マイナビニュースでも何度か紹介した女性二人組、Flask LLPによるiPhoneアプリである。WWDC 16で"Apple Design Award"を受賞したUlyssesや INKSも選出されている。
Apple TVアプリ/ゲームアプリは、それぞれ8本が選ばれた。
Apple TVアプリ
- Easy Music
- Adobe Lightroom
- サゴミニスーパーヒーローTV
- Streaks Workout
- Digital Concert Hall
- お天気ナビゲータ
- LandSkip
- BUBL Car Adventure
Apple TVゲームアプリ
- Badland 2
- ダンジョンタイルズ
- ハッピー剣術: パーティーゲーム
- クリプト・オブ・ネクロダンサー
- DARIUSBURST
- PAC-MAN Championship Edition
- MMX Hill Climb
- Through The Fog!
夏にApple 表参道でシリーズ発売30周年記念イベントを開催したタイトーのDARIUSBURSTなどが栄誉に輝いている。
さらに今年はApple Watchアプリ部門が開設された。受賞タイトルは以下の通り
Apple Watchアプリ
Apple Watchアプリで選出されたZonesは、iPhoneアプリ部門でピックアップされたStandlandを開発したFlask LLPによるワークアウト記録アプリである。プラットフォームが増えた分、選ばれるアプリも増えたとは言え、2部門での受賞は快挙である。2部門受賞は、iPhoneゲームアプリの聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-と、iPadゲームアプリのDeus Ex GOで受賞したスクウェア・エニックスも達成しているが、従業員数はたった二人というFlask LLPの受賞は特筆に価する。彼女たちの実力は世界有数のデベロッパーと肩を並べるところまで来ていると評価して差し支えないと思う。App Storeでのアプリ販売は、本当に大きな可能性を秘めているのだ。
日本のスマートフォン市場において、iPhoneユーザーは49%と、半数近くを占めると言われている。依然として人気に衰えはなく、リーディングカンパニーとしての地位はゆるぎない。そのiPhoneも来年で10周年を迎える。今年は3D Touchやデジタルシネマ規格であるDCI-P3に対応したディスプレイを魅せる、美しいグラフィックスが取り入れられたアプリの躍進が目立ったが、来年もまた、新デバイスの機能をフィーチャーしたタイトルにスポットが当たるのは間違いないだろう。