Microsoftは、来春リリース予定のWindows 10 Creators Updateの先を見据えている。前回は64ビット版ARM上でx86コードを実行可能にするプロジェクト「Cobalt」を紹介したが、2017年リリース予定のRedstone 3 (開発コード名) では、新たなデザイン言語プロジェクト「NEON」の導入を計画しているという。

本件は海外のIT系ニュースサイト「Windows Central」の記事が発端だが、この背景を説明するには「Microsoft Design Language (MDL)」に関する説明が必要だ。MDLは、配色やタイポグラフィー、アイコンなどに最適なデザインを提供する指針である。Appleでは「iOSヒューマンインターフェイスガイドライン」やGoogleでは「マテリアルデザイン」に該当するデザインガイドラインだ。

Build 2012のセッション「The Microsoft design language」のスライドより。異なるデバイス間で統一したUXを提供するという概念は完成している

MDLはモダンUIへと発展し、Windows 8.xやXbox 360、Windows Phone 8.xのUIは利用者の間に議論を巻き起こした。Windows 10においてモダンUIは、スタートメニューやタブレットモードにかろうじて残っているが、Windows 10 MobileやXbox OneではメインUIとして顕在。NEONは、このUIデザインを進化させるプロジェクトであるとWindows Centralは報じている。

UIの刷新は利用者に混乱を与えかねない。Windows 8.xのモダンUI、OfficeやエクスプローラーへのリボンUI導入に戸惑ったユーザーも多かった。だが、安心してほしい。プロジェクトNEONは既存のUIを完全に置き換えるものではないようだ。

MicrosoftがプロジェクトNEONを進めるのは、現状のUIに問題があるからだ。Windows 10などMicrosoft製品を使っていて感じるのが、大枠では同じUIを提供しているが、細部では整合性が図られていない点だ。例えば、WindowsストアアプリやUWPアプリケーションでは、ハンバーガーボタンデザインを推奨していたが、「フォト」の最新版ではハンバーガーボタンを取り除いた。もちろんそれ自体が問題ではない。他のUWPアプリケーションが追従していないのである。

この現状に対して、コンテキストメニューやアプリケーションバーなど細部まで一貫したデザインを提供するのがプロジェクトNEONの目標だ。Microsoftは1年以上前からプロジェクトNEONに取り組みはじめ、その成果をRedstone 3に実装し、2018年リリース予定のRedstone 4ではサードパーティの開発者もMDLへアクセス可能になる。

「フォト」のバージョン16.1118.10000では、ハンバーガーボタンがなくなっている

「天気」はハンバーガーボタンを中心にしたUIデザインを採用している

2017年にはWindows Holographicをベースにした安価なVRヘッドセットがOEMベンダーからリリースされる。UIデザインの統一という目標を掲げるからには、PCやモバイルだけでなく、VRヘッドセットなどもその計画に含まれるはずだ。

2017年には、HPやLenovo、Dell、Acer、ASUSなどから299ドル程度でVRヘッドセットが発売される予定だ

阿久津良和(Cactus)