現在、横浜駅発着となっている相模鉄道の電車が将来、JR線・東急線に乗り入れる。その実現に向けて建設中の神奈川東部方面線整備事業(相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線)の工事現場見学会が4日、横浜市の相鉄線西谷駅付近にて実施された。
今回の工事現場見学会で公開された場所は、西谷駅からトンネルに入り、上下線のトンネルが合流し、四角い断面の開削工法で造られたトンネルから、丸い断面のシールド工法のトンネルに切り替わる場所まで。上り線から進入するルートで見学会が行われた。
横浜市都市整備局の説明によると、神奈川東部方面線事業の遅れという状況があり、事業の進み具合を市民に説明するため、今回の工事現場見学会が行われたとのことである。
神奈川東部方面線事業については今年8月、「用地取得の難航に伴う工事の遅れや昨今の建設物価高騰など」を理由に開業時期を変更することが発表されている。相鉄・JR直通線は当初予定の2018年度内から2019年度下期に、相鉄・東急直通線は当初予定の2019年4月から2022年度下期に、それぞれ開業予定時期が遅れる見込みとなった。建設費も約2,739億円から約4,022億円に増える。
工事現場見学会での相模鉄道からの説明によれば、とくにJR線との接続部分の工事が遅れているという。というのも、相鉄・JR直通線が合流する横浜羽沢駅は東海道貨物線の駅であり、24時間運行している貨物列車に配慮し調整するのに時間がかかっているようだ。
鉄道・運輸機構による地下のシールド工法による区間の工事はおおよそ終わっている様子で、あとは地上との接続部分の工事が必要なのだという。
相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線の開業で何が変わる?
神奈川東部方面線事業が完成すれば、相鉄線沿線からの都心部へのアクセスが向上する。相鉄・JR直通線ができることで、現在は二俣川駅から新宿駅まで59分かかっているのに対し、開業後は44分となる。相鉄・東急直通線ができれば、現在は二俣川駅から目黒駅まで54分かかるのに対し、開業後は38分に短縮される。さらに東海道新幹線新横浜駅周辺に新駅ができることで、新幹線へのアクセス向上などの効果が見込まれる。
12月4日の工事現場見学会は10~15時の間に4回に分けて行われた。これに先立ち、報道関係者向けの見学会も行われている。一般向けの見学会の定員は各回25名だった。工事の遅れを説明する必要から実施されたという今回の見学会。だが、実際に現場を見てみると、工事はかなり進捗しているようで、相鉄・JR直通線に関しては、比較的早い段階で、実際に乗客を乗せて走る姿を見ることができるのではないかとも感じた。