広島市内を走るJR可部線の電化延伸区間、可部~あき亀山間の2017年春開業に向けた準備が進んでいる。可部駅では12月18日から新設ホームを使用開始する予定。電化延伸区間の軌道・踏切・駅舎などの新設工事も進み、同区間に設置される踏切4カ所で、12月23日から踏切が作動し、列車が通過するという。
可部線の現在の終着駅である可部駅では、12月1日の東西自由通路の使用開始に続き、12月18日から新設ホームを使用開始すると案内されていた。これにともない、頭端式の1・2番線ホームは12月17日をもって廃止され、翌18日から現在の3番線ホームが1番線ホームに変更されるという。新設ホームは2番線ホームとなり、改札口(西口改札)も設置。既存の改札口(12月18日以降は東口改札)とは東西自由通路で結ばれる。
新設ホームは電化延伸区間の開業後、下りホームとして使用予定だが、12月18日以降は1番線ホーム(現在の3番線ホーム)と同じく横川・広島方面の列車が発車する。
電化延伸区間の踏切は既設の西中野踏切も含め、計4カ所設置される。可部駅の北側にある西中野踏切では、12月23日から列車の試運転のため、踏切が作動すると案内されていた。新設の国安踏切(歩行者専用)、高宮中学校踏切、四日市踏切(鉄道と道路の立体交差化が図られるまでの暫定復活踏切)にも同様の案内があり、開業に向けた試運転が間もなく始まることをうかがわせた。
可部線はもともと横川駅から三段峡駅までを結ぶ路線で、非電化区間の可部~三段峡間は2003年12月に廃止された。しかし、可部駅から1駅先の旧河戸駅周辺は住宅地であり、地元からも強い復活の要望があったという。JR西日本と広島市は2013年2月、可部駅から荒下県営住宅跡地までの約1.6kmを電化延伸する事業実施に合意。一度廃止した路線を復活させる、全国的にも珍しいケースとなった。
可部線の電化延伸区間(可部~あき亀山間)に設置される踏切は既設も含めて4カ所。12月23日から列車が通過するため、踏切が作動すると案内されていた |
電化延伸区間をまたぐ可部バイパスに新駅の駅名決定を祝う幕も |
今年7月、JR西日本が電化延伸区間に設置する新駅の駅名を公表し、中間駅は「河戸帆待川」、終着駅は「あき亀山」と決まった。河戸帆待川駅は旧河戸駅より東側に設置されており、駅前は県道267号線を挟んでホームセンター、スーパー、ドラッグストアが並ぶ。すぐそばに広島北税務署があり、安佐北警察署や安佐北区役所も徒歩圏内となる。
河戸帆待川~あき亀山間では、踏切が2カ所(高宮中学校踏切、四日市踏切)新設される一方、可部四日市簡易郵便局付近にあった線路横断箇所が10月末をもって封鎖された。これに代わる設備として横断歩道橋が整備されており、バリアフリー対応でエレベーターも設置される予定となっている。
この横断歩道橋と四日市踏切との間に旧河戸駅があった。県道267号線沿いにありながらホームへの通路が狭く、建物に囲まれて目立たない駅だったという。電化延伸区間の新駅とはならず、すでにホームなども撤去されたが、駅前の県道267号線に設置された「河戸駅まで電化早期実現」の看板がいまも残っていた。
新たな終着駅となるあき亀山駅は荒下県営住宅跡地に設置され、頭端式ホームの他に留置線も備えた駅となる。駅舎は伸びやかな屋根の曲線が特徴で、駅南側の太田川を向いた位置に駅舎を設置するようだ。現在の駅南側は空地だが、将来的には安佐市民病院の新病院棟や駐車場などが整備される予定で、2022年春の開業をめざしているとのこと。
現在の可部線は新型車両227系を中心とした運用となり、2~4両編成で運行。電化延伸区間の河戸帆待川駅・あき亀山駅もホームは4両編成対応となっている。JR西日本は今年11月に国土交通省中国運輸局長へ運賃の認可申請を行っており、可部線の既存区間(横川~可部間)と同様、地方交通線の運賃が適用される予定。広島~河戸帆待川間の普通運賃は320円、広島~あき亀山間の普通運賃は410円とされている。