PDエアロスペースとエイチ・アイ・エス、ANAホールディングスの3社は12月1日、民間主導による宇宙機開発を行うことに合意し、宇宙旅行をはじめとする宇宙輸送の事業化に向けて、10月28日に資本提携をしたことを発表。2023年12月までには商用運航開始を目指している。

有人宇宙機のイメージ

PDエアロスペースは、低コストで利便性の高い宇宙輸送インフラの構築に向けて事業展開しており、現在、世界初となるジェットエンジンとロケットエンジンを切り替えることのできる次世代エンジンと、完全再使用型弾道宇宙往還機を開発中。H.I.S.とANAHDは宇宙旅行・宇宙輸送実現にむけ、国内唯一の有人宇宙機開発会社であるPDエアロスペースと資本提携し、民間主導による宇宙機開発を推進し、2023年12月の商業運航開始を支援する。

同社が開発中の次世代エンジンは、単純な筒構造で構成され、かつ、極超音速の飛行が可能なパルスデトネーションエンジンの特性を生かし、ジェットエンジンとロケットエンジンの機能をひとつのエンジンで相互に切り替えるというもの。これにより、空気中も宇宙空間もひとつの機体で飛行することが可能となるという。

また、同じく開発中の完全再使用型弾道宇宙往還機は、スペースシャトルのように燃料タンクを使い捨てるような部分再使用型宇宙往還機とは異なり、航空機のようにシステムの全てを繰り返し使えるようなもの。離陸・発射後、放物線を描くように、宇宙空間へ到達した後に自由落下して地球に帰還、着陸することができるシステムを構想している。

今後は、PDエアロスペースの有人宇宙機開発にANAHDが旅客機運航の知見を生かして宇宙機のオペレーションをサポートし、H.I.S.が宇宙旅行、宇宙輸送サービスの販売を担う。PDエアロスペースは、有人宇宙機の開発を通じて宇宙という未知で広大な領域が多くの人にとって、より身近な存在になるよう事業展開を目指している。

PDエアロスペースの開発スケジュールは、2017年10月までに無人要素技術実証、また、新型エンジン技術実証、2018年10月までに無人による100km到達、2020年10月までに有人による100km到達、2023年5月までにFAA/国交省認証、2023年12月までには商用運航開始を目指している。