JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の運行開始に向けた記者会見が29日、大阪市内で行われた。同列車は大阪~札幌間を結んだ寝台特急「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継ぐ、クルーズ形の豪華寝台列車である。
今回の記者会見は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の運行開始日や旅行代金などを発表する目的で行われたが、会見中、新たな長距離列車に関するサプライズ発言も飛び出した。
JR西日本代表取締役社長、来島達夫氏は会見の中で新たな長距離列車の計画に触れ、「より多くの方に気軽に鉄道の旅を楽しめるように、瑞風とは別に新たな長距離列車の検討を始めた」と述べた。この発言は多くの報道関係者に驚きをもたらした。
新たな長距離列車は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」とまったく別のコンセプトで作られ、カジュアルに気軽に鉄道の旅を楽しめる列車になる予定だという。現在のところ、JR西日本管内で運行することが予定されている。
なお、新たな長距離列車が座席タイプになるのか寝台タイプになるのか、その他、車両のタイプや登場時期、ダイヤなどに関しては「早急に検討する」としている。JR西日本としては、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」と新たな長距離列車を組み合わせることで、鉄道の旅の良さを伝えることを目的としているようだ。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」旅行代金は1泊2日27万円から
会見では「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の運行開始日や旅行代金なども発表された。運行開始日は2017年6月17日で、大阪駅・京都駅から山陰本線経由で下関駅へ向かう1泊2日片道タイプ「山陰コース(下り) ~文豪と維新の歴史をたどる旅~」でデビューする。
この初運行も含め、2017年6~9月出発分の予約が12月5日10時から開始される。1泊2日片道タイプの各コースにおいて、「ロイヤルツイン」(2名利用)の旅行代金が1人あたり27万円となっており、他社のクルーズトレインよりも割安な価格設定となった。来島氏はこの価格設定に関して、「トータルのサービスにふさわしい価格を求めた」と述べた。
現在、JR九州が「ななつ星 in 九州」を運行しており、2017年5月からJR東日本「TRAIN SUITE 四季島」も運行開始される予定で、今後はクルーズトレインの競争が激化することが予想される。来島氏は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の強みとして、「良き伝統、自然、地元の食材を使った食事など、山陽・山陰ならではのおもてなし」を挙げていた。
記者会見では「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車両解説も行われたほか、乗客を出迎える際に披露される予定の伝統芸能「出雲神楽演舞」の実演や沿線代表者らによるPRも行われた。同列車が提供する「トータルのサービス」に期待を感じさせる内容となった。