マウスコンピューターのゲーミングブランド「G-Tune」では、フォームファクタに合わせて、4種類の製品シリーズを用意している。その中でもフラグシップとして位置付けられるのが「MASTERPIECE」シリーズで、重厚感のあるケースに高いスペックを備え、ハイエンド志向のゲームユーザーに人気のモデルだ。
その「MASTERPIECE」シリーズがおよそ6年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。新しくなった「MASTERPIECE」について、変化のポイントをG-Tuneプロダクトを担当する、マウスコンピューター コンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室主任の小林俊一氏に話を聞いた。
「MASTERPIECE」シリーズは誕生以来、これまでもいくどかモデルチェンジを繰り返し、進化を続けてきた。小林氏は「前回のモデルチェンジが、2010年12月で、内部のパーツは新しい世代が出るたびに変わっているが、ケース自体もそろそろリニューアルのタイミングと考えていた」と話す。
パートナーと協議をしながら、ベースとなるケースが決定したのが、2015年12月後半。それから1年をかけて、デザインや仕様を詰めてきた。6年の間に、PCのデザインや仕様も大きく変化しているが、最新のトレンドを反映した製品に仕上がっている。
フロントに強化ガラス採用の新ケース
それでは、新MASTERPIECEと旧MASTERPIECEを実際に比べながら見ていこう。まずは外観からだ。G-Tuneのミドルタワーモデル「NEXTGEAR」では、西洋甲冑をモチーフとしたフロントフェイスをはじめとして、曲線を意識したデザインとなっているが、MASTERPIECEでは直線的でソリッドなものとなっている。これは新モデルでも変わらないが、実際に見てみると素材の違いからくる印象が大分違う。
MASTERPIECEのケースは、これまでも素材感を生かしたものとなっている。旧モデルではアルミとスチールの金属感がハイエンドシリーズらしい高級感を演出していた。新モデルでは、フロントに強化ガラスを採用した点が大きなトピックだ。ここ1~2年ほど、ミドルからハイグレードのPCケースでは、ガラス素材を取り入れた製品が次々と登場しているが、このトレンドに乗ったものだ。ガラスならではの光沢感が、これまでとは違った華やかさをもたらしている。「MASTERPIECEでは、機能を踏まえたうえで、上位モデルとしての風格を持ったデザインとしている。それが"シンプル""フラット""ソリッド"というイメージに繋がっている」と小林氏。
フロントのデザインも大きく変わっている。黒ベースの筐体に差し色の赤いラインという色味は新旧ともに一緒だが、旧モデルでは筐体の上部にインタフェース、光学ドライブ、3.5インチベイを配置していたところ、新モデルでは赤いライン上にインタフェースと光学ドライブをまとめた。ガラス部分には何もなく、それがシンプルでよりスマートな印象となった。
サイドパネルは、標準構成時で筐体と同じ金属パネルを搭載するが、オプションとしてこちらもガラス素材のパネルを選択することができる(税別5,800円)。筐体内部を"魅せる"ケースが増えているが、やはりケース内部を見せたいというニーズに応えたものだという。
ちなみにG-Tuneでは、キャラクターやロゴをレーザー刻印したアクリルサイドパネルをオプションとして提供しているが、新MASTERPIECEではいまのところG-Tuneロゴをあしらったバージョンのみとなっている。これはガラスのサイドパネルでは、加工法が異なるので、アクリルパネルと同様の対応が難しいためだという。とはいえ、多くの要望があれば対応したいとしている。
また、フロントインタフェースについて、最新のケースではUSB Type-Cコネクタを備えたものも出てきているが、このようなカスタマイズについても今後検討したいとのことだった。
フレームには1.2mm厚の鋼材を採用し、高い強度と剛性を備える。ケースのみの状態で重量は10kgを超えるそうだ。底面のゴム脚を含めて、共振も抑えるという。
内部は余裕のある作りに
続いては内部を見てみよう。驚くのがその広いスペースだ。通常のケース、あるいは旧MASTERPIECEであれば、フロント部分にドライブケージがあるが、新MASTERPIECEではそれがなく、実にすっきりとしている。大型のグラフィックスカードも余裕を持って取り付けられるうえに、メンテナンスも非常にやりやすそうだ。電源ユニットは本体上部の専用エリア「PSU Chamber」に搭載される。主要パーツとエリアを分けることで熱源を分離する。
旧モデルではフロントにファンを備え、前→後のエアフローを形成していたが、新モデルではフロントパネルは外せない構造となっているうえに、吸気用のエアホールも設けられていない。基本的に底面から吸気し、背面ファンと電源のファンを使って排気となる。MASTERPIECEのハイエンド構成では、ハイエンドグラフィックスカードをSLIで搭載するため、発熱への対策は非常に重要だ。
旧モデルでも発売当初になかった上面の排気孔を追加で設けるなど、工夫を重ねてきた。新モデルでは、ゆとりのある空間と、裏配線によるケーブルマネジメントで効果的なエアフローを実現し、システム内部を冷却する。
旧モデルでは、後に上面に排気孔が設けられた。細かい点も改善を続けていることが分かる。ちなみに上面にものを置くユーザーが多く、穴をふさがれると冷却効果が落ちることから、新モデルではあえて排気孔を省いている |
ハイエンド構成ではTITAN XのSLIも可能だ。ただ、従来のマザーボードでは、PCI Express x16スロットの間隔が狭くなってしまい。放熱がネックになってしまうので、新たにPCI Express x16スロット間が広いマザーボードを採用しているという |
なお、CPUとグラフィックスの両方に簡易水冷クーラーを採用した「ダブル水冷モデル」も用意するが、こちらでは背面のファンがラジエータとなる。
搭載できるストレージ数は減ったが容量増でカバー
さて、フロント面にドライブケージはないが、ストレージはどこにあるかというと、ケース内部の正面に2.5インチSSDが見えるが、その横にさらに2.5インチSSDを設置可能なスペースを設ける。裏側の裏配線スペースに3.5インチHDDと光学ドライブが1基ずつ搭載できるようになっている。
ハイエンドモデルで、ストレージが3基というのは少ない印象だ。「前モデルが出たときには、大容量のストレージがそれほどなかったが、いまはSSDやHDDの容量が格段に増えている。搭載できるドライブが減った分、容量でカバーするという形にしている。また、速度を重視する場合はM.2タイプのSSDも搭載できる」(小林氏)。標準構成では480GB SSD + 3TB HDDを搭載(Z170モデルの場合)。また、オプションで960GB SSD + 8TB HDD、さらに外付けHDDも用意されている。不安な場合はこちらを選ぶといいだろう。
いまのトレンドを味わえる
新MASTERPIECEは、最新のトレンドを取り込みつつ、必要な機能を絞り込んだシンプルなモデルだ。ラグジュアリーな外観とシンプルな内部がそれを現している。ガラスの質感はほかのBTO PCにはなかなかなく「攻めた」製品といっていい。秋葉原のG-Tune : Garageで、すでに実機が展示されているので、ゲーマーはもとより、「PCらしくない」PCが欲しい人にも1度実際に目にして欲しいところだ。
製品名 | MASTERPIECE i1610SA1 | MASTERPIECE i1610PA1-DL | MASTERPIECE i1710PA1 | MASTERPIECE i1710PA1-SP |
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CPU | Intel Core i7-6700K(4.0GHz) | Intel Core i7-6800K(3.4GHz) | Intel Core i7-6900K(3.2GHz) | |
チップセット | Intel Z170 | Intel X99 Express | ||
メモリ | 16GB(8GB×2) DDR4 PC4-17000 | 32GB(8GB×4) DDR4 PC4-17000 | 32GB(8GB×4) DDR4 PC4-19200 | |
ストレージ | 480GB SSD + 3TB HDD | 960GB SSD + 3TB HDD | ||
グラフィックス | NVIDIA GeForce GTX 1060 3GB | NVIDIA GeForce GTX 1080 8GB | NVIDIA TITAN X 12GB | NVIDIA TITAN X 12GB×2 |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ | |||
電源 | 700W(80PLUS BRONZE) | 1200W(80PLUS GOLD) | ||
OS | Windows 10 Home 64bit |