江戸最大級の庶民の街として栄えた東京・両国には、現在もなお、街が歩んできた歴史をほうふつさせるおいしいものが集っている。そんな両国に"粋な江戸の食文化を楽しむ"を掲げた「-両国- 江戸NOREN」が11月25日11時に誕生する。11時オープンときたならば、ここは江戸っ子の一番風呂にならって、"ランチ一番乗り"なんてどうだろう。全12店の一押しランチを聞いてみた。

「-両国- 江戸NOREN」は江戸の町屋をイメージ。中心には日本相撲協会監修の土俵も

土俵を中心に広がる江戸の町屋

同施設は、東京都墨田区横網・JR両国駅西口にて開業。昭和4(1929)年に建造された両国駅の旧駅舎がもとになっている。吹き抜け空間が広がる館内には全12店舗が軒を連ねており、その様子は江戸の町屋そのもの。そしてここは相撲の街・両国だ。その文化を伝えるべく、施設のど真ん中に日本相撲協会監修の土俵が設けられている。「相撲はテレビでちょっと見たぐらいだな」という人はここで実感していただきたい。思いの他、土俵は大きく感じるか、それとも小さく感じるか。

両国駅の旧駅舎を使用。直線とアーチ型でデザインされた3つの大きな窓や中央に配した駅時計など、駅舎建造当時の面影や懐かしさを生かしている

館内には両国周辺を始め、東京の魅力を伝える観光案内所も併設されている

江戸前の握り寿司の起源を知る

さて、ランチである。入居する店舗は寿司、蕎麦、天ぷらなど12の和食店で、それぞれには"江戸の粋"を感じられるストーリーがある。両国は江戸前の握り寿司が広まった原点でもあるとのことなので、まずは寿司から紹介しよう。

代々、両国で店をかまえてきた鮓「政五ずし」では、江戸時代に両国で江戸前の握りを考案したと言われる「華屋与平衛」の寿司を再現。同店のこだわりは、砂糖は使わず、江戸時代からの伝統製法を生かして作られた純酒粕酢三ツ判山吹と塩だけを用いた寿司酢を使っていること。うまみを閉じ込めた飴色の深い純酒粕酢が、まろやかですっきりとした酢飯に仕上げてくれる。「華屋与平衛」は味噌汁または吸い物、和菓子付きで税込3,000円。そのほか、「菊」(税込1,500円)、「百合」(税込2,500円)、「牡丹」(税込3,500円)も展開している。

「政五ずし」

純酒粕酢三ツ判山吹を用いて仕込んだ酢飯はほんのり赤い

築地に店を構える「つきぢ神楽寿司」が、両国で寿司「つきぢ神楽寿司 両国本店/立ち食い店」として展開。伝統の江戸前天然赤酢を用いた酢飯に、国産・天然中心の旬のネタをあわせる。今日では炙りの寿司もよく見かけるが、同店はバーナーではなく直火炙りをすることで風味にもこだわっている。1週間しっかり漬け込んだコハダも江戸前ならでは。

1貫ずつ立ち食いで食べることも可能だが、ランチのオススメは「江戸前握り」(おわん付きで税込3,240円)。もっと手軽に楽しみたいなら、税込1,500円(おわん付き、握り7貫+玉子+手巻き)と税込2,000円(おわん付き、握り8貫+玉子+手巻き)のセットもある。

「つきぢ神楽寿司 両国本店/立ち食い店」

「江戸前握り」(おわん付きで税込3,240円)

築地のあの味を両国で

海鮮ものは寿司のみならず。まずは、豪華は2段重ねの「築地場外丼」(税別3,000円)で知られている海鮮料理「かぶきまぐろ」も、ここ両国に出店。築地店では熟成魚を取り扱っているが、同店では鮮度抜群の魚も取りそろえる。熟成魚ならではのしっかりとした旨み、新鮮な魚ならではの食感、その両方をここで楽しむことができる。

「築地場外丼」ももちろん、ランチにオススメなのだが、もっと手軽なメニューとしては「マグロづくし」(税別1,500円)が一押しとのこと。築地一の高級マグロを扱う仲卸・樋長(ひちょう)から仕入れ、中トロやヅケ、ネギトロなどを盛り合わせたもので、季節によっては大間のマグロを使用することも。店内は黒を基調としたシックな空間になっているので、デートに訪れるのもありだ。

「かぶきまぐろ」はシックな内装

「築地場外丼」(税別3,000円)

一方、大所帯でわいわい楽しみたいなら、全306席を備えた海鮮総合和食・宴会「築地食堂 源ちゃん」へ。2階の空間を全部使った店舗で、窓から両国駅に発着する電車を眺めることができるのもポイント。毎朝、築地直送の海鮮を豊富に取りそろえ、仕事終わりの1杯2杯3杯にもってこいのお店だが、ランチには定食もいろいろ選べる。オススメは「真鯛の胡麻だれ丼」(税別950円)で、ひつまぶしのように最後は茶だしをかけて〆られるのがいい。

「築地食堂 源ちゃん」

「真鯛の胡麻だれ丼」(税別950円)

もちろん、江戸の食文化は海鮮だけではない。続いては、江戸の食文化を今に伝えるグルメに加え、小休止やちょい飲みにぴったりなお店を紹介しよう。