説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneの「ボイスメモ」って使えますか?』という質問に答えます。

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iOSに標準装備のアプリ『ボイスメモ』は、iPhone内蔵のマイクを使い周辺の音を録音する機能を備えています。文字どおり会話をメモする感覚で気軽に録音できますが、ボイスレコーダー/サウンドレコーダー専用機と比較すると、その機能は簡易的と言わざるをえません。

『ボイスメモ』を利用すると、内蔵マイクが集音した音声はサンプリング周波数48kHz/量子化ビット数16bitのオーディオデータとして、AACフォーマットで記録されます。ただしビットレートは約64kbpsに抑えられているため、高音質録音は期待できません。人間の声を記録するにはじゅうぶんな帯域を確保できますから、会議や講演の様子を記録する用途には足りますが、楽器の演奏を録音するには不向きです。

チャンネル数が1つ(モノラル)になることも留意しておきましょう。現行モデルのiPhoneには、底面のLightning端子左横と表面のFaceTimeカメラ横、裏面のiSightカメラ横に計3基の小型マイクが内蔵されていますが、『ボイスメモ』にそれらのマイクを左右チャンネルに割り当て手録音する機能はありません。EarPodsなどイヤホンのリモコン部に内蔵の小型マイクも利用できますが、録音はやはりモノラルで行われます。

最大の注意点は、録音中に着信があると自動的に停止されてしまうことです。録音開始後にiPhoneの画面を見ないまま放置していると、知らぬ間に着信があり録音が止まっていたという事態を招いてしまうため、録音開始前には機内モードをオンにしておかなければなりません。この現象は内蔵マイク使用時は『ボイスメモ』の録音機能が動作しないというiOSの仕様によるもので、iPhone単独では通話内容を録音できないことの理由にもなっています。

とはいえ、つねに持ち歩いているiPhoneの機動力を生かせるうえ、データ量は1分/1メガバイト前後とわずかなことから、使い勝手がいいことも確かです。ここ一番という場面での録音は専用機に委ね、雑記帳感覚で使うことが『ボイスメモ』のありかたではないでしょうか。

録音中に着信があると止まってしまうなどの注意点はあるものの、気軽に録音できることが『ボイスメモ』の利点です