ストレスへの耐性は人によって異なる。2人の会社員が同時に上司から10分間説教されても、ある人はケロッとしているが、もう片方の人は目も当てられないほどのショックを受け、ストレスにさいなまれているなんてこともありうる。
まったくもって不思議な存在であるストレスだが、先般英国で実施されたアンケートでは非常に興味深いデータが明らかになった。海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「過剰な10個のストレスの兆候と11の対処法」と題したコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。
英国のマーケティングリサーチ会社の「OnePoll」が2,000人を対象に実施した調査によると、平均的な英国の成人は毎日2時間11分のストレスを感じている。その原因は仕事関連だったり、金銭面だったり、ディナーの約束に遅れそうだったり……といった具合だ。この数字を年間に換算すると33日で、平均寿命に当てはめると5年6カ月にもおよぶという。
ストレスを感じる最大の原因は「遅刻」と「時間不足」で、「交通渋滞」や「家族を含む健康問題」と続く。締め切りのプレッシャーやお金の不足、ダイエット、勧誘電話、借金なども重要な原因だという。また、仕事のオフ日でも63%の回答者がストレスを感じており、クリスマスや誕生日といった一見すると「ハッピー」なイベントもストレス源になりうるとのこと。
ストレスのピークは36歳で、睡眠障害や健康問題を引き起こすこともある。「ストレス状態が継続的に続くと生化学が影響を受け、免疫に悪影響をおよぼすようになる。すなわち、冬になるとインフルエンザや風邪に罹患しやすくなる」とウェスト・オブ・スコットランド大学のマーガレット・リッチー准講師は語る。
「ストレスは私たち自身の過重な負担の結果であるため、『いつもすべてをやらないといけない』と感じないように」と過敏性腸症候群に詳しい著名な心理学者であるメガン・アロル博士は語る。
そのうえで、「私たちはしばしば、他人に対して理解や同情を示すのに、自分に対してはそうしません。(ストレスに対処するためには)自分自身に対して優しくなるようにしましょう」と続けた。すなわち、嫌なことに対しては「No」と言い、しっかりと休息をとり、そしてささいなことで自分自身をしかりつけないことが重要だというわけだ。
以下にストレスを感じているときのサイン10個をまとめたので、多くの項目に当てはまる人は注意が必要だ。
1.心拍がとびとびになる
2.テレビ番組の筋を忘れる
3.じっと座っていられない
4.セックスを避ける
5.胃に違和感を覚える
6.睡眠障害がある
7.無口になる
8.キレやすくなる
9.「この世の終わりだ」などと感じるようになる
10.風邪が治りにくくなる
ストレスが高まると血液が脳や心臓、肺、筋肉に流れ、「外敵」のストレスを追い払おうとする。血液循環をよくするために心拍が高まり、筋肉に酸素を供給するために呼吸のスピードが速くなる。脳と筋肉にグルコースを供給するために血糖値が上がる。そして血管が圧縮する。
これらの生理現象をしずめるためには、以下の対処法を実行するとよいとのこと。
1.頭の中で詩を暗唱する
2.騒音をさえぎるヘッドフォンを使う
3.作業量を共有して減らす
4.料理をする
5.散髪をしながらヘアードレッサーとたあいもない話をする
6.自分を責めない
7.作業にかかる時間をより正確に推定し、過度の作業を取り込まない
8.退屈な時間を持たない。他人と接しながら余暇を楽しむように心がける
9.広い世界の中で物事を考えるようにし、現在自分が行っている作業を相対評価する
10.十分な水分を摂取する
11.深呼吸をする
実際、具体的なプラクティスで言えば呼吸が最も重要だとするアロル博士は「毎日、『落ち着こう』と繰り返しながらおなかで深呼吸をすれば習慣になる」と語る。
ストレスの兆候が見られたら、これらの対処法を試してみたいものだ。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。