先月、鳥取県で大きな地震がありました。被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。まだまだ余震などが続き、大変な日々とは思いますが、皆様の一日も早い復興をお祈りしております。私たちも、少しでもできることをしたいものです。今回は、自宅にいるタイミングで緊急地震速報がきたらどんな行動をとったらいいのかについて考えます。賃貸住宅では特に逃げるスペースがありませんので、安全の確保が最優先になります。

このところ、大きな地震が頻発しています。自宅にいるときに緊急地震速報が鳴ったら、どうすればよいのでしょうか。

多くの場合、緊急地震速報が鳴ってから揺れが来るまで数秒間。瞬時に行動しましょう。

まず前提として、ベッド回りや机など、安全を確保する場所をつくっておきます。そしてその周りには、何も置かないようにします。一番大事なのがベッド回り。室内では、寝ている時間が長いもの。そのときに揺れても倒れてくるものがないように周囲を整理整頓しておきます。家具をベッドの周囲に置かないのが一番です。

室内にいるときに地震が発生した場合

起きているときに速報が鳴ったら、机の下など頭を保護できる場所に移動します。机の下で足をしっかり持って身体を支えます。ふりほどかれそうなほどの揺れかもしれませんが、しっかりしがみつきましょう。寝ているときならベッドの上で、枕や布団を頭に乗せて横になって身体を丸くします。揺れが強ければベッドの縁(へり)をもってしがみつきます。ベッド下に落ちそうになるかもしれませんが、下に落ちると壁の隙間に挟まれて危険です。力を込めて身体を守りましょう。

トイレ、お風呂での対処法

閉じ込められないよう、すぐドアを開けます。トイレからすぐに出られるようなら廊下に出て、そばにある足ふきでもタオルでもなんでもよいので、頭に乗せて屈みます。何もなければ手でも頭を守っても構いません。お風呂では風呂桶などで頭を保護し、ドアを開けます。シャンプーなどを上部に置いてあるならば、落下して危険です。普段から床下にまとめて置いておくのもポイント。揺れが収まったら、脱衣所に出てすぐ服を着るようにします。バスタオルや服の上に荷物が散乱して服を取り出せないことがないように、普段からお風呂から上がっても取りやすいところに服を置くクセをつけたいものです。

キッチンでの対処法

そばにあるザルなどで頭を保護し、キッチンから離れます。上部の食器などが落ちてくると危険。玄関のそばならドアを開けて避難路を確保します。ガスを止めることが頭に浮かびますが、最近では、一定の揺れを感じると自動的にガスが止まる仕組みが、大抵の物件で導入されているはず。まず自分の身を守ることを考えます。揺れが収まって火の手が上がっていたら、消火器を使うか、「火事だ!」と叫んで周囲に知らせます。余裕がないかもしれませんが、119番にも連絡したいもの。消火器は廊下に置いてあることが多いので、日頃から場所も確認しておきましょう。

室外にいた場合

たまたまゴミだしで外へ出た瞬間に揺れた、ということもありえます。外では窓のガラスなどが降ってきたり、大きな木やブロック塀などが倒れてきたりする可能性があります。周囲を見て危険なものから離れて、身体を屈めて頭を守って揺れが収まるのを待ちましょう。

普段から気を付けておくこと

普段からガスの種火をつけっぱなしにしたり、ガスの元栓や洗濯機の給水栓を開きっぱなしにしたりしていませんか。地震のときだけでなく、日常の事故を防ぐためにも、普段から使用後は必ず消したり、元栓を閉めたりするようにしましょう。洗濯機の給水栓も、不在時にふとしたことでホースが外れて、水浸しになる事故が頻繁に起きています。水は下の階の部屋まで漏れることが珍しくなく、そうなるとあなたが補償しなければならなくなります。洗濯機を使ったら必ず給水栓を締めるクセをつけましょう。

高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォーム、空き家、住宅ローンなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる方法』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。『夕刊フジ』にて「住まいの処方銭」連載中。