インフルエンザ患者が例年よりも早い時期に増えている

国立感染症研究所は11月15日、10月31日~11月6日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中におけるインフルエンザウイルス感染者が昨年の5倍以上になっていることが明らかになった。

インフルエンザウイルスは、冬のシーズンになると毎年のように流行するインフルエンザの原因となる。ウイルスに感染すると、のどの痛みや鼻水といった風邪のような症状のほか、「38度以上の発熱」「頭痛」「関節痛」などの症状を呈する。

厚生労働省によると、高齢者ら免疫力が低下している人が感染すると、肺炎を併発するなど重症化するケースも認められる。通常は一定のウイルスの潜伏期間が過ぎた後にこれらの症状がみられるようになるが、中にはインフルエンザ特有の症状が出ない「不顕性(ふけんせい)感染」の人もいる。

全国約5,000カ所の定点医療機関から10月31日~11月6日(第44週)の期間中に報告があった全国の患者数は2,903人。第40週の患者は1,111人であったため、直近1カ月間で患者が2.6倍以上になっている計算となる。

都道府県別で第44週に患者が最多だったのは沖縄県の630人で、医療機関あたりの患者数は10.86人とこちらもトップだった。以下、東京都の242人(医療機関あたり0.58人)、北海道の220人(同0.97人)、埼玉県の165人(同0.65人)、神奈川県の160人(同0.48人)と続く。定点医療機関での患者数は福井県(2.44人)、栃木県(1.66人)が目立って多かった。

2016年は例年よりも早い時期に感染者が増えている傾向にある。第44週における医療機関あたりの患者数は全国平均で0.59で、前週よりも0.12アップしている。ただ、2015年の第44週における医療機関あたりの患者数は0.11で、今年の5分の1以下。2006年以降の同時期の数値をみると、軒並み0.1もしくは0.2台に留まっていることからも、2016年の感染者の多さがうかがえる。

なお、インフルエンザの主な感染経路は、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染。予防策としてはワクチン接種のほか、マスク着用や手洗い、うがいなどがある。

※写真と本文は関係ありません