『BanG Dream!』(通称『バンドリ!』)のセカンドライブ「BanG Dream! Second☆LIVE Starrin'PARTY 2016!」が2016年11月13日、東京・東京ドームシティホールで開催され、戸山香澄役の愛美(Gt.&Vo.)、花園たえ役の大塚紗英(Gt.)、牛込りみ役の西本りみ(Ba.)、山吹沙綾役の大橋彩香(Dr.)、市ヶ谷有咲役の伊藤彩沙(Key.)が出演した。

『BanG Dream!』はガールズバンドでステージを夢見る少女たちを描いた作品で、コミックやアニメ、ゲームなどのコンテンツを通して描かれる物語と、出演声優自らがガールズバンド「Poppin'Party」として活動するリアルのクロスオーバーが特徴の作品だ。2017年1月には待望のTVアニメの放送が決定している。

開演のブザーが鳴ると、夏制服姿の5人がステージに登場。ライブ当日の朝～ライブ開演までの、5人のおだやかな時間を生ドラマで演じ、そのまま5人がバンドセットの持ち場につき、シームレスにライブに突入するのが『バンドリ!』ならではだ。間奏で愛美自らクラップを呼び込み、躍動するリズムと笑顔が弾けるステージングはハッピーそのもの。愛美が「みなさん今晩は! セカンドパーティにようこそ! 次の曲はみんなで337拍子を奏でましょう!」と煽り、そのまま「夏空 SUN! SUN! SEVEN!」へとつなぐ。

自己紹介を挟んだあとはカバーコーナー。カバーコーナーではボーカルも持ち回りで全員で歌う。トップバッターは大橋と伊藤で『Angel Beats!』の「Crow Song」。山吹沙綾としての大橋のちょっとクールで低めのボーカルにぴったりすぎる楽曲で、そこに伊藤の甘い高音が加わることで原曲とはまた違う空気感のハーモニーが生まれていた。ギターに専念する愛美の佇まいがなかなか雰囲気があっていい。ガールズバンドカバーといえばこの作品、『けいおん！』劇中歌の「ふわふわ時間」は西本と大塚のボーカルを、ショルダーシンセサイザーに持ち替えた伊藤彩沙がサポート。伊藤にもしっかりソロパートがあったため事実上トリオボーカルで、普段は西本と後列の伊藤がアイコンタクトしながらのセッションがあったりするのも新鮮だ。ラップっぽいパートの西本は、かなりキャラクターボイスに寄せて歌っている印象だった。

ステージに戻ってきた愛美が星型のギターを携えてカバーするのは『TIGER&BUNNY』の「オリオンをなぞる」。音域の違いと愛美自身の存在感も相まって、まるで自分の曲のように引きつけて歌いこなしているのが印象的だった。そしてカバーコーナーラストの曲、ボーカルは愛美と大橋のツインボーカルで、この2人の組み合わせは初めてだ。「とっても盛り上がる、みんな知ってる曲なので飛んだり叫んだりしてくれたら嬉しいです」の前フリから、愛美と大橋が「「ETERNAL BLAZE」」と曲名で声を揃えると会場は熱狂的な歓声とともに赤・黄・オレンジ(2人のイメージカラーと「ETERNAL BLAZE」の定番色オレンジ)に染まる。飛び抜けた表現力・ボーカル力を持つ2人がサビ前からハモりに入った瞬間は背筋にゾクりとするものが走った。

カバーコーナーが終わると『バンドリ！』の歴史を振り返る映像で小休止。映画のスタートを告げるようなブザーと共にステージが再開すると、5人は冬制服にチェンジして登場し、5人が流星群を見上げる生ドラマを演じた。ドラマでは愛美が戸山香澄を演じながら、アカペラの「STAR BEAT!～ホシノコドウ～」をささやくように歌ったりする一幕もあった。

ライブ後半戦は再びの「ぽっぴん'しゃっふる」から。ただし今度はそれぞれが楽器を持ち替えてのアコースティックアレンジだ。伊藤は鍵盤ハーモニカ、大橋は鈴とウィンドチャイム(シャラララランと鳴らす楽器)、西本はフレッドレスベースといった構成。椅子に腰掛けての演奏のため、全員がひざ掛けを装着。余談だが、足を組むギター・ベース系の3人で、ひざ掛けをしっかり使う西本、かっこよくブーツだけ覗かせる愛美、ほとんど置いてるだけの大塚になんとなくキャラが見える気がする。それにしても聴き慣れた曲が郷愁さえ感じるような落ち着いたトーンになるのはアレンジの妙だった。メンバー同士も「新しくて新鮮だね!」「お客さんに見てもらうのはまた緊張するね」と楽しそう。大橋は「あいみんのコーラス、ドキドキする。息を合わせる感じが、いい」と語っていた。

もう一曲のアコースティックアレンジは「STAR BEAT!～ホシノコドウ～」。ややBPMを落としたアレンジで、愛美のボーカルと大塚、西本が中心のコーラスの生の歌声を活かした構成。より情感重視の愛美のボーカルが、音がシンプルになるほど強く、鮮やかに感じられる。楽曲のクライマックスのLaLaLaの大合唱は、まるでアコースティックのためにあつらえた曲であるかのように心地よく響いていた。

「走り始めたばかりのキミに」は、背後にライブ演奏するアニメーションのキャラクターたちのPVを流しながらのライブ。各キャラクターが大写しになる場面ではそれぞれのメンバーのソロ歌唱パートが入るこだわりようだ。「ティアドロップス」はロック色強めで、５人が５人とも個性全開のパフォーマンスを見せる。どちらを見ていいのかわからないぐらい贅沢な時間だが、その中でも「この手を離さないから」のキメフレーズの言葉力、表情、手つきのアクセントで会場の視線を全て引きつけてしまうのは愛美と戸山香澄の特異な引力だろう。

本編ラストナンバーはもちろん「Yes! BanG_Dream!」。『バンドリ!』ならではなのはメンバー紹介&挨拶がキャラクターモードなこと。会場も「お・た・え!」「りみりん!」「さ・あ・や!」「あ・り・さ!」「か・す・み!」の歓声で応えていく。ラストの演奏と大合唱がひとつになって盛り上がる感じは他では味わえないクライマックス感だった。

アンコールはふわふわの薄布のようなオーバースカートが印象的な「STAR BEAT!」衣裳で登場。愛美が「ライブ初披露の曲です。この日のために何度練習したことか! Poppin'Partyの新しい形かな」と告げると会場は期待の大歓声に包まれた。西本は「一番歌詞が大好きな曲です」、大塚は「二番の入りが一番好き!」とそれぞれにこだわりを語っていた。新曲「1000回潤んだ空」は壮大に聴かせる楽曲で、ピアノ中心の静かな旋律の立ち上がりから、サビに向かう流れの爆発的なパワーとの落差がすさまじく、余韻が残る楽曲だった。そしてラストはこの衣裳を着たなら歌わずには終われない曲、「STAR BEAT!～ホシノコドウ～」で締め。挨拶で涙をこぼした大塚が「皆さんと一緒に素敵な景色見ていけたらいいなと思います。だからこれからも応援してくれますか？」と叫んでいたのが強く印象に残った。

情報コーナーでは12月7日に『BanG Dream!』の発表会が池袋サンシャインシティ噴水広場で開催されることや、17日・18日に大阪・名古屋でリリースイベントを行うこと、4月30日に横浜アリーナで開催されるブシロード10周年ライブにPoppin'Partyが出演することなどが発表されていた。来年1月、アニメスタートに向けて走り出す『BanG Dream!』にこれからも注目していきたい。

「BanG Dream! Second☆LIVE Starrin'PARTY 2016!」セットリスト

M-01 : ぽっぴん'しゃっふる
M-02 : 夏空 SUN! SUN! SEVEN!
M-03 : Crow Song (『Angel Beats!』挿入歌カバー) /大橋・伊藤ボーカル
M-04 : ふわふわ時間 (『けいおん！』劇中歌カバー) / 西本・大塚ボーカル
M-05 : オリオンをなぞる (『TIGER&BUNNY』前期OPテーマカバー) / 愛美ボーカル
M-06 : ETERNAL BLAZE (『魔法少女リリカルなのはA's』OPテーマカバー) / 愛美・大橋ボーカル
M-07 : ぽっぴん'しゃっふる [アコースティックver.]
M-08 : STAR BEAT!～ホシノコドウ～ [アコースティックver.]
M-09 : 走り始めたばかりのキミに
M-10 : ティアドロップス
M-11 : Yes! BanG_Dream!
【アンコール】
EC-01 : 1000回潤んだ空 (完全新曲)
作詞・作曲:上松範康 (Elements Garden)/編曲:藤永龍太郎 (Elements Garden)
EC-02 : STAR BEAT!～ホシノコドウ～

(C)BanGDream! Project