まぶたが瞳孔や角膜にかかり、視界を遮ってしまう疾病の「眼瞼下垂(がんけんかすい)」。命に直結する危険性は少ないため、喫緊の病として対応する必要はないかもしれないが、見た目を気にして治療を望む人も多い。本稿では、あまきクリニック院長の味木幸医師の解説をもとに眼瞼下垂の治療法などを紹介する。
手術をするタイミングに注意
眼瞼下垂は眼瞼(まぶた)が加齢などによって垂れ下がったり、まぶたを上げる筋肉が弱くなったりすることでなる病気だ。先天性のタイプもあるが、後天性のものではその原因は加齢やハードコンタクトレンズの使いすぎなど。症状としては、視界が狭くなったり物が見えづらくなったりすることがあるが、「まぶたをより上げようとして額にシワが寄る」「肩こりや頭痛を伴う」といった"弊害"を招く場合もある。
下がってきてしまう上まぶたを特殊な器具で持ち上げる「クラッチメガネ」を装用したり、垂れ下がってきた皮膚をテープで上に引っ張ったりすることで、眼瞼下垂への対症療法を行う人もいる。ただ、根本的治療となるとやはり手術しかない。
味木医師は「手術には、たるんでいる筋肉を縫い縮めるタイプと余分な皮膚を切除し縫合するタイプがあります」と話す。
「どちらの手術を選択するかは、担当医によって異なります。私のクリニックでは眼瞼下垂の種類と患者の方の年齢によって手術のやり方を変えています。縫い縮めるのみの術式は、皮膚のたるみがあまりない40~50代の方に向けて行っています。それ以上の年齢の方に対しては、皮膚切除をする場合が多いです」。
どちらの術式を選択しても、手術は局所麻酔で行い日帰りが可能。皮膚を切除するタイプの場合、手術から約1週間後に抜糸するが、その間は患部が腫れることもある。また、1カ月間は皮下出血が度々出るため、社外の人と頻繁に会うような仕事をしている人は、手術のタイミングにも注意したいところだ。