Googleが初めてハードウエアも手がけたスマートフォン「Pixel」「Pixel XL」。10月初めに発表した時、Webのライブ中継で発表を見た印象は”凡庸”だった。AIを活用したデジタルアシスタント「Google Assistant」が統合されているとはいえ、スマートフォンを進化させるようなハードウエアの試みがあるわけではなく、これならNexusシリーズの新製品でも良かったのではないかと思った。

「Pixel」シリーズはGoogleがハードウエアも設計した”Phone by Google”、これまで同社が販売していたNexus端末はハードウエアを手がける携帯メーカーとのパートナーシップで開発されていた

ところが、発表会のハンズオンで実際に触れたり、出荷前に提供を受けたジャーナリストや記者から"絶賛"のレビューが相次いだ。

Pixelシリーズ発表の数週間前に発売されたiPhone 7シリーズに対しては、「The future in disguise」(取り繕った未来: The Verge、Nilay Patel氏)というようなキビしいレビューが少なくなかった。それに比べて、iPhone 7 Plusほども攻めていないPixelのレビューが絶賛というのは奇妙である。

スマートフォン市場が成熟期に入り、iPhoneの進化も順当と呼べるものにとどまり、そうした中、刺激を求めるメディアが新しいものに飛びついているのではないか、そんな疑念を抱いたまま「Pixel XL」を使って一週間……、今の気持ちを一言で言い表すなら「とても使いやすい」だ。たくさんのレビューでほめられているのもうなずける。

筆者の初Android端末「HTC Magic」(2009年、Android 1.6)と「Pixel XL」(2016年、Android 7.1)

筆者はAndroidが登場した頃からずっとGoogleが提供するAndroid端末を使い続けてきた。最初は開発者向け端末、Nexusシリーズが登場してからはNexus端末である。仕事柄、iOSとAndroidのどちらも日常使いにし、基本的に1週間交代ぐらいで使っているのだが、正直、Android端末の週は色々と我慢を強いられてきた。単純にスペックを比べたらAndroid端末が勝っていることが多い。それでもiPhoneの方が快適に感じる。違いを生み出しているのはアプリの有無もあったが、主に使いやすさ、利用体験の違いなのだ。

Pixel XLの使用では、そんな我慢を覚えない。iPhone 7 PlusとPixel XL、どちらを持って出かけても同じように快適である。Wall Street JournalのJoanna Stern氏は、端末のデザイン、OSの使いやすさ、サポート、OSメジャーアップデートの提供など、これまでユーザーがiPhoneを選んできた様々な理由でPixelには不満がないと指摘し、Pixelを「Android iPhone」と表現した。具体的なポイントを挙げれば、Stern氏が述べている通りなのだが、この良さは理屈だけでは言い表せない。筆者の感想はKevin Rose氏にツイートに近い。

「Got the new google pixel, it feels like I'm using an iPhone with android on it, hard to explain but I like it (Google Pixelを手に入れたんだけど、AndroidでiPhoneを使っている気分だ。上手く説明するのが難しいけど、これは良い)」

多くの人が、悪い意味ではなく「iPhoneを使っているみたい」と感じるPixel、Kevin Rose氏(Revision3、Digg、Pownceなどを創業した起業家)もその1人