米Microsoftは10月26日に開催した発表会で、次期大型アップデート「Windows 10 Creators Update」を2017年3月にリリースすることを明らかにした。今回はWindows 10 Creators Updateが備える機能について、より細かくみていく。
MicrosoftはWindows 10を創造的なツールとして活用するシナリオを用意した。その具体的なアプローチとなるのが、3Dコンテンツの製作を可能にする「3D Paint」、MR (複合現実) を実現可能にする「Holographic shell」、そして、パートナーベンダーからのリリースされるVRヘッドセットだ。
「Paint 3D」については現在、プレビュー版として「Paint 3D Preview」を公開している。日本からはダウンロードできないが、地域設定を変更することでWindows 10 Insider Preview ビルド14955での動作を確認した。
筆者は創造的な操作は不得手だが、プリセットされた3Dモデルを使って配色を指定したり、レタッチができることは確認できた。Microsoftは3D Paintについて、2D画像を3Dオブジェクトに変換し、Remix 3Dコミュニティでお気に入りを共有できると説明している。
Holographic shellは、Microsoft HoloLensなどのMR対応ヘッドマウントディスプレイとWindows 10を接続し、アプリケーションを起動するためのシェルだ。詳細は12月8日から中国・深センで開催するWinHEC 2016で発表する予定である。
さて、Windows 10に3Dオブジェクトの作成環境を用意した理由の一つに「Microsoft HoloLens」の存在がある。こちらはB2Bシナリオを想定しているため、コンシューマー向けの価格帯ではないが、この点についてもMicrosoftは新たな道筋を用意した。HP、Lenovo、DELL、Acer、ASUSなどから、299ドルほどのVRヘッドセットがリリースされるそうだ。
今回の発表会では、PowerPointの3Dオブジェクトサポートなども明らかにされるなど、「3D推し」という印象を持った。Windows 10の新機能については前回の記事で「MyPeople」を紹介したが、次のようなものも公開されている。
「Groove Music Maker」といった新アプリや「Microsoft Edge」「マップ」など既存アプリの機能拡張、アクションセンターや「設定」項目の追加など、興味深い特徴が確認できる。特にWindowsストアで確認できる「Picks for you(おすすめ)」には、Windows 10のテーマ機能としてダウンロード購入できるであろうコンテンツが並ぶ。
また、「Windows Defender」はUWP (ユニバーサルWindowsプラットフォーム) 風のGUIパーツが並んでいるため、「Skype」からUWP版「Skype Preview」と同じように、Windows Defenderも現在のデスクトップアプリからUWPアプリ化が行われるのだろう。
Windows 10 Creators Updateは、3DとMR、VRの強化のほか、多くの改善が加わる。特にMicrosoft Edgeはさらに便利になりそうだが、ここで苦言を1つ呈したい。筆者は現在、Windows 10 Insider PreviewでMicrosoft Edgeを常用しているが、いまだに動作は安定していると言い難い。大量のWebページを開いた際のメモリー管理に問題があるのか、ちょっとした遅延が発生してしまう。Microsoftには各機能の拡充を図りつつも、Windows Insider Programを通じて安定性の向上を目指してほしい。
阿久津良和(Cactus)