群雄割拠のMVNO市場。その中でソフトバンク系のワイモバイルと、KDDI系のUQコミュニケーションズは、MNOであるメインキャリアとも、MVNOとも異なる第3の選択肢として独自の路線を歩んでいる。UQコミュニケーションズの「UQ mobile(以下、UQモバイル)」事業は今後、どのような立ち位置で激動のMVNO市場を生き延びるのだろうか。
サブブランド=MNOとMVNOのいいとこ取り
現在、日本でMVNOサービスを提供しているのは大小合わせて500社以上といわれる。その大半がNTTドコモ網を利用しているが、例外的にau網やソフトバンク網を利用するサービスも、ごくわずかにある。UQコミュニケーションズはこの「例外的」な会社のひとつだ。 UQコミュニケーションズはもともと、3.9Gサービスである「WiMAX」および4Gサービスの「WiMAX 2」をサービス提供する企業として設立された。しかし2015年に、KDDIの子会社で、au網のMVNOサービス「UQモバイル」の運営およびMVNEサービスを提供する「KDDIバリューイネーブラ」(KVE)を吸収合併することで、スマートフォン向けのMVNO・MVNEサービスも提供することになった。
ソフトバンク系のワイモバイルの場合は完全に親会社に吸収されてしまったのに対し、UQの場合は、会社としては別組織だ。株主にはJR東日本や京セラなども残っており、KDDIの100%子会社ではない。とはいえ「UQモバイル」というブランドをKVEから受け継いでおり、「身内」であることには違いはない。NTTグループという大きな枠の中では「兄弟」もたくさんいるが、自社の子会社にはMVNO事業を展開させていないNTTドコモとは異なる部分だ。
ワイモバイルにせよUQにせよ、親会社の回線を低価格で販売していることには変わりなく、MVNO的な価格でMNOの回線を販売しているということで、市場では「サブブランド」と呼ばれる特別な位置づけにあると見なされている。サービスの品質や価格帯的にもちょうどMNOとMVNOの中間程度になり、「MVNOはちょっと不安が残るけど、MNOより安くて安心感もある」というサービスを求めている層が、敏感に反応して契約しているわけだ。