俳優の東出昌大が2日、東京・EXシアター六本木で行われた第29回東京国際映画祭クロージング作品『聖の青春』(11月19日公開)の舞台挨拶に登壇し、本作で演じた天才棋士・羽生善治役について「鬼のような思いで挑んだ」と語った。
本作は、天才棋士・羽生善治と"東の羽生、西の村山"と並び称されながら29歳にして亡くなった実在の棋士・村山聖の生涯を、師弟愛、家族愛、ライバルとの友情を通して描く実話。主演の松山が村山聖を、東出が羽生善治を演じた。
東出は「ヒロイン・羽生善治役の東出昌大です」とおちゃめにあいさつ。「東京国際映画祭という日本を代表する国際的な映画祭において、将棋という伝統的な日本のものを扱った作品がクロージングに選ばれたことは光栄」と喜び、「胸を張ってここに立っています」と話した。
また、最初にこの話を聞いたときは「将棋が映画になるって大丈夫か」と思ったと明かし、「ものすごい動きも少ないですし、将棋は日本人の中でもわからない人もいるような複雑なルール」とその理由を説明。「ただ、この映画に映っていたのは人としての生き方や男同士の戦い。そういうものは世界共通だと思う」と続け、「国際映画祭で将棋のルールをご存じない世界の方々に見ていただいても、絶対に伝わるものはあると思う」と力強く語った。
さらに、「将棋界の方は村山さんが体が悪いことはご存じだった。ただ、羽生さんもほかのプロ棋士の方たちも盤面を挟んだときに容赦しないんです」と話し、「人生を将棋にかけているからこそ手を抜くなんてことはしない。黒がついたときは死にも等しい…自分の人生がぺしゃんこになる瞬間なので」と棋士たちの生きざまを熱弁。「それでも僕は、村山聖の人生をぺしゃんこにしてやるんだっていう鬼のような思いの中でこの撮影に挑みました」と羽生善治役としての覚悟を打ち明けた。
舞台挨拶には、村山聖を演じた主演の松山ケンイチ、森義隆監督、そして、スペシャルゲストとして、リオ五輪メダリストの吉田沙保里選手、三宅宏実選手、羽根田卓也選手も登壇した。