日本ギガバイトはこのほど、同社の小型ベアボーン「BRIX」シリーズの新モデルを国内初披露した。
「BRIX」は、メモリとストレージ、OSを追加することで1台のPCとして完成する小型PCベアボーン。手のひらサイズで、デスクの背面など、設置スペースをそれほど必要とせず、家庭用だけではなく、オフィスや教育向け、デジタルサイネージなどにも広く活用されている。
いまでは、Intel NUCをはじめとしてさまざまな小型ベアボーンが登場しているが、その中でも「BRIX」はいち早くこの市場に取り組んだ草分け的な存在である。
"Kabylake"搭載モデルが早くもお目見え
新モデルとして紹介されたのは、コンシューマ向け4製品、業務用1製品の計5製品。最初に紹介されたのは「GB-BSi7HT-6500-QA-BWJP」。これは、すでに販売中の「GB-BSi7HT-6500」に、メモリとストレージ、OSを搭載し、小型PCとして展開する。CPUにIntel Core i7-6500Uを採用するほか、インタフェースとして、Thunderbolt 3に加えて、4K@60Hzの出力に対応するHDMI 2.0を備える点が大きな特徴だ。
続いて紹介されたのは、"Kabylake"こと第7世代Coreプロセッサを搭載した「GB-BKi7HA-7500」。2コア/4スレッド、2.7GHz駆動のIntel Core i7-7500Uを採用する。
通信機能は、ギガビット対応有線LAN(Intel i219LM)、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2。インタフェースとして、USB 3.1×1(Type-A×1、Type-C×1)、USB 3.0×2、HDMI×1、Mini DisplayPort×1などを備える。USB 3.1に関して、コントローラはASMedia製を採用しているとのことだ。
GB-BSi7HT-6500では、Intel製コントローラを採用し、USB 3.1 Type-CとThunderbolt 3の利用が可能だったが、GB-BKi7HA-7500ではASMedia製のコントローラでUSB 3.1のみ |
また、今回は展示されなかったが、Intel Core i5-7200Uを搭載した「GB-BKi5HA-7200」もラインナップされているという。
BRIXらしくない? 移植のゲーミングモデル
今回の発表会の目玉ともいえるのが、ゲーミングモデル「BRIX GAMING UHD」と「BRIX Desktop」だ。どちらも2016年6月のCompurexで登場したモデルとなる。
「BRIX GAMING UHD」は、従来のBRIXを縦に伸ばしたような柱型のデザインを採用する。内部にIntel Core i7-6700HQに加えて、デスクトップ向けのNVIDIA GeForce GTX 950を搭載するハイスペックモデルだ。
BRIX GAMING UHDの概要。Intel Core i7-6700HQ/GeForce GTX 950をオンボードで搭載。従来のBRIXと比べて内部スペースに余裕があるため、M.2 SSDと2.5インチストレージを2基ずつ組み込める |
これまでもBRIXでは、ディスクリートGPUを搭載したゲーミングモデルを展開しているが、実際にデモの様子を見るとかなり筐体が熱くなる印象だった。今回披露された「BRIX GAMING UHD」は従来よりも筐体に余裕があるからか、筐体に触れてもわずかに温かいといった程度に収まっていた。
また、内部スペースが大きくなったため、M.2と2.5インチストレージを2基ずつ搭載できるほか、出力インタフェースもHDMI×1+DisplayPort×3で、4画面の4K出力に対応する。11月12日の発売を予定し、店頭予想価格は約14万円の見込みだという。
GIGABYTEが公開している「BRIX GAMING UHD」の組み立て詳細動画 |
一方の「BRIX Desktop」は、BRIXのイメージを大きく覆すデザインで、まるで家庭用ゲーム機のような風貌だ。Intel Z170搭載マザーボードを搭載し、Intel Core i7-6700Kに加え、市販のグラフィックスカードをそのまま組み込み可能だ。展示されたデモ機にはNVIDIA GeForce GTX 1070搭載カードが組み込まれていた。
ハイエンドカードが搭載できるのは非常にユニークだが、気になるのは電源と排熱だ。「BRIX Desktop」ではシステム用にACアダプタ、グラフィックスカード用でFlex-ATX電源という2系統の電源を必要とする。また、エアフローは筐体の下側から吸気して、上側へ排気する形だが、CPUの温度が80度を超えると筐体上部のハッチが自動で開いて排気を排気を促すという。
これまでのBRIXよりも大型といえども、筐体サイズはW276×D384×H128㎜で、一般的なゲーミングPCよりも小型で「いままでスペースの関係でスペックを妥協していたユーザーも大丈夫」とアピールする。こちらは日本国内での詳細は未定で、いまの時点では参考展示となる。ただし、2017年の前半には国内市場にも投入したいという。