音のユニバーサルデザイン化を支援
ヤマハは「おもてなしガイド」を展示。すでにアプリはストアから入手できるほか、各所で実証実験を行っている。対応施設でのアナウンス音声を自動的に拾い各国語で表示するもので、日本語表示で聴覚障害に対応したり、各国語への翻訳でインバウンド対応もできたりと、これからの応用が広がりそうだ。
スマホアプリだけで音声の文字化、翻訳が可能な「おもてなしガイド」。実証実験地域はサイトでわかるが関西地区が多い |
本来アナウンスのリアルタイム表示だが、テーマパークでのミュージカル歌詞を表示する実証実験も行われている |
このため、公共交通機関や商用施設での応用が行われているが、ちょっと変わった利用ではテーマパークでの利用がある。「どこかで聞いたことがある曲が聞こえる」と思ったらサンリオピューロランドで行われているショーでも利用が行われているそうだ。このショーの場合、ステージ脇にも字幕画面があるが、必ずしも字幕画面のそばに座れるわけではないし、対応言語が多くなれば、字幕だらけで読みにくいデメリットも出てくるかもしれない。このシステムではセリフや歌の翻訳が、スマホに表示される仕組みとなっている。
字幕という観点ではショーの進行に合わせて字幕を表示するEvixarの「Another Track」も展示されていた。こちらはあらかじめ指定されたイベント(字幕、画像等)を「すかし音」をキーに表示する。すかし音は音響特性の悪い屋外やホールでも問題なく表示できるという。ライブイベントにスマホを持ち込むという事をむしろ積極的にとらえて、たとえば「スマホ画面にサイリウムを出して演出の一部にしてしまおう」という試みも行われたという。
スクリーン1ドット単位で情報の埋め込みが可能な可視光通信など
東京大学の苗村研究室では「人々が集う場における情報メディアの未来~JST CREST多人数調和型情報展示技術プロジェクト 最終成果報告会~」としていくつかの展示を行っていた。
会場に流れる謎の音声につられてみると、アイディア出しの補助ツールだった。水色の数字がカードを出した時間で、赤色が(いわゆる)「イイね」数 |
プロジェクターの画素に可視光通信を埋め込んだPVLC。ここではスマホを展示に合わせておくと説明が表示されるようになっている |
会場にたまに「そうなんだー」という音が響いていて何かと思ったのはその一つで、アイディアメモを置くと、紙の周囲にあるコードを読み取り自動的に置いた時刻を表示。最新のアイディアに共感した場合、ボタンを押すと赤くスコアが追加される仕組みとなっている。
グループワーキングではアイディアを褒めることで全体の効率を上げる事が出来るが、日本人はシャイでなかなか褒めないため、これを改善するための方法として考案したという。なお、紙の周囲にコードを埋め込んだのは周囲がメモに書き込まれる率が低いのと、多少重なっても読み取れる機能を重視したためだという。
また、下から照らすプロジェクターに仕掛けを施して「その気になれば1ピクセル単位で情報が埋め込める」可視光通信のデモも行われていた。スマホに受光素子を組み込んでおり、デモは今回の展示ブースに合わせる事で紹介ビデオが流れるようになっていた。
現実的には受光素子の大きさがあるので1ピクセル単位というわけにはいかないようだが、位置情報ならば上下左右の影響を受けにくいエンコードを使う事でかなりの精度が実現できるという。
3Dプリンターの完成予定を表示してイメージを掴みやすくする「MiragePrinter」。3Dプリンターに組み込んだ形で展示していた |
下のスタッフが書いた軌跡を通信で上のペンに伝えて、手を添えるだけで勝手に書き込む「dePENd」。ペンでなければ「電子コックリさん」になりそう |
デジタルコンテンツEXPO
開催期間:10月27日~30日 開場時間:10:00~17:00 会場:日本科学未来館 入場料:無料(未来館への入園料は不要)