デスクワークに従事し、一日の大半をオフィスで過ごしているビジネスパーソンは多い。だが実はそのオフィスが「細菌の巣窟」となっている事実は、意外と知られていないかもしれない。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「オフィス用品と細菌」に関する研究を紹介するコラムが掲載された。便座やペットが遊ぶおもちゃ、貨幣は不潔で多数の細菌が繁殖していると考えられている。しかし実際には、私たちが日々働いている場所で触る物の方が不潔だということが明らかになった。
オレゴン州を拠点にITトレーニングのウェブサイトをたちあげているCBTナゲッツの研究チームは、日々の労働必需品の清潔度に関する研究を実施。「キーボード」「トラックパッド」「マウス」「電子バッジ」「電話」という5つのオフィス用品の1平方インチ当たりの平均コロニー形成単位を測定した。
その結果、キーボードには便器の2万倍の細菌が、マウスには水洗ハンドルの4万5,000倍の細菌が繁殖していたことが判明。中でもIDバッジの菌が最も多く、簡単なセキュリティー・バッジでもよくあるペットのおもちゃより243倍も多い菌が繁殖していたという。
なお、1平方インチあたりの細菌数を見ると、電子バッジが最多で1平方インチあたり462万個もの細菌が確認された。続いてキーボードが354万3,000個、電話が約160万個、マウスが約137万個で、トラックパッドだけは810個しか確認されなかった。
研究グループは仕事場などで桿菌やグラム陽性球菌、グラム陽性桿(かん)菌、グラム陰性桿菌などの細菌を発見した。桿菌やグラム陽性球菌は、食中毒やレンサ球菌感染症の原因となる危険なもの。普段使用しているキーボードやマウスが、これらの感染症を引き起こす可能性もあるということになる。オフィス用品は定期的に除菌スプレーを用いるなどして、清潔に保ったほうがよさそうだ。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。