日本料理の奥ゆかしさやヘルシーさは、今や世界的に知られるまでになった。そんな日本食の摂取メリットをさらに後押ししてくれそうな研究が明らかになった。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「長寿と日本食の関係」に関する研究を紹介するコラムが掲載された。同記事ではロンドンの栄養士のカサンドラ・バーンズ氏が日本食が健康増進につながることを説明している。その一部を紹介しよう。
日本人は長寿で健康的だということはよく知られているが、専門家はその秘訣(ひけつ)が日本食にあるとみている。例えば、マドンナさんやヴィクトリア・ベッカムさんといったセレブはすしやみそ、漬物を好んで食べているが、こういった食事が彼女らの輝ける美貌(びぼう)を支えていると考えられている。
バーンズ氏は日本食によく用いられ、長寿に関連するとみられている食材に関して言及している。以下にまとめた。
魚
魚は心臓や脳、目、炎症に効能があるオメガ3脂肪酸を多く含んでいるだけでなく、免疫システムにとって必須であるセレンの宝庫でもある。さらに、脳内の化学成分のバランスを保つビタミンBも豊富だ。
みそと旨みペースト
日本人女性の健康の秘訣は、発酵させた大豆を含む物を食していることだ。イソフラボンを含んでいるみそや旨みペーストは、閉経後の乳がんや子宮内膜がんリスクを低減し、骨密度を高めて骨粗しょう症や骨折のリスクを下げ、心臓血管の健康によいと考えられている。バーンズ氏は、みそや納豆のような伝統的な発酵大豆食品がよいと語る。
海藻
海藻はヨウ素や亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどミネラルの宝庫で、免疫システムの働きを高める効能がある。
抹茶
抹茶を含む緑茶には、老化防止に効能があると言われているカテキンが豊富に含まれている。カテキンはアルツハイマー病や心臓疾患、がんなどの予防にもなると言われている。抹茶にはテアニンも豊富に含まれており、リラックス効果をもたらしストレス解消にもなるとバーンズ氏は語る。
酢漬けの野菜(漬物)
酢漬けの野菜は食べ物の消化と栄養の吸収をサポートし、健康によい。免疫システムの約75%は胃腸にあるため、腸内フローラの働きをよくすることで免疫システムの向上につながる。酢漬けの野菜を食べれば感染症予防になるだけではなく、自己免疫疾患のような免疫システムの過大活動によって引き起こされるものの防止にもつながる。
ただ、市販製品は日本の漬物のように伝統的な手法で発酵させていないため、「自分で漬ける必要があるかもしれない」とバーンズ氏は語る。
もちろん、健康寿命を延ばしたいからといってこれらの食材だけを食べていればいいというわけではない。栄養バランスのよい食事をしたうえで、毎日の3回の食事機会をうまく活用しこれらの食材をプラスするようにしよう。
※写真と本文は関係ありません
記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。