JR九州が25日、東京証券取引所市場第1部(東証1部)に上場した。「今後は上場企業としての社会的責任を自覚しつつ、当社グループの"あるべき姿"である『安全とサービスを基盤として、九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ』を目指してまいります」と同社。10月26日には福岡証券取引所への上場を予定している。

JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」(写真左)と九州新幹線800系(同右)

JR旅客6社のうち、株式上場はJR東日本、JR西日本、JR東海に続いて4社目。本州以外の"3島会社"では初の上場となる。新規上場に際し、東京証券取引所ではJR九州代表取締役社長の青柳俊彦氏、同社代表取締役会長の唐池恒二氏らが鐘を打って上場を祝ったとのこと。25日の初値は3,100円で売出価格2,600円を上回り、その後は売り注文が出るなどして2,900円台で推移、終値は2,990円だったことが報じられている。

JR九州は東証1部上場に合わせ、2017年3月期(2016年4月1日から2017年3月31日まで)における同社グループの業績予想と最近の決算情報などを明らかにしている。2017年3月期の連結業績予想は営業収益3,788億円、営業利益518億円となる見込み。

基幹事業である鉄道事業は、熊本地震による列車の運転見合わせに加え、観光需要・インバウンド需要の減少も見込まれることから、鉄道運輸収入は前期比4.4%減の1,435億円に。一方、鉄道事業固定資産の減損処理にともなう減価償却費の減少、新幹線貸付料の減少などにより、運輸サービスにおける営業利益は230億円を見込んでいる。駅ビル・不動産事業については、福岡都市圏や九州内主要都市における不動産収入増などが見込めることから、売上高は前期比3.7%増の643億円、営業利益は211億円とされた。

同社グループを取り巻く経営環境について、国内経済は「緩やかな回復を続ける」としつつ、熊本地震の影響で「復旧・復興需要が徐々に顕在化するなど持ち直しの動きがみられるものの、熊本・大分両県を中心とした観光産業等は厳しい状況が続く」と見込んでいる。「JR九州グループ中期経営計画 2016-2018」の下、「やさしくて力持ちの"総合的なまちづくり企業グループ"」をめざし、各事業において積極的な事業展開による収益拡大を図り、より効率的な業務運営と徹底したコスト削減を推進。熊本地震からの早期復旧へ安全を最優先に取り組み、被災地域の復興に向けた連携も図るとしている。