日本生産本部はこのたび、「日本的雇用・人事の変容に関する調査」の結果を発表した。同調査は全上場企業の人事労務担当者を対象に、1997年より実施しており、今回の調査は第15回に当たる。

「労働時間の長短と評価は関係なし」は4割

正社員(特にホワイトカラー層)の長時間労働について企業側の評価を尋ねたところ、「労働時間の長短と評価は関係ない」が44.4%と最も多く、次に「プラスに評価する傾向がある」が24.8%となった。

また、正社員(特にホワイトカラー)の生産性が同業他社に比べて「高い」「どちらかというと高い」と感じている企業では、長時間労働に対して「労働時間の長短と評価は関係ない」が43.8%と最も高く、生産性が「低い」「どちらかというと低い」と感じている企業では「プラスに評価する傾向がある」が43.3%と最も高くなった。

貴社は、長時間労働(残業)をしていることに対してどのような評価をする組織風土だと思いますか(特にホワイトカラー層に対して)

限定正社員以外の"いわゆる正社員"(「無限定正社員」)という働き方は、今後も貴社における正社員の主流の働き方だと思うかと聞いたところ、「今後も主流」との回答が約8割(82.0%)を占めた。その利点としては「人材の柔軟な異動・配置が可能」(92.5%)、「長期的視点に立った人材の育成ができる」(76.7%)等があげられている。一方、問題点については「転居を伴う転勤・異動があるため生活基盤が安定しにくい」(60.9%)、「残業や休日出勤など長時間労働になりがち」(33.8%)とつづいた。

業績や成果・貢献度に比べて賃金水準が見合っていない(賃金水準が高い)と思われる社員の年齢層については、「50歳代」という回答が49.6%と約半数を占めた。こうしたことも背景に、仕事・職務内容を反映する賃金である「役割・職務給」の導入率は高水準で推移しており、「管理職層」で74.4%、「非管理職層」で56.4%となった。

調査は2016年7月下旬から8月下旬の間、全上場企業2,177社の人事労務担当者を対象にアンケート調査票郵送方式で行われた。