ストレスフルで忙しい毎日に一息入れる時間として、コーヒーや紅茶によるブレークタイムを楽しみにしている人は少なくない。そんな人たちにとって朗報と呼べそうな研究成果が海の向こうから報告された。
海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、「カフェインと認知症予防」に関する研究を紹介するコラムが掲載された。一日にコーヒー2杯もしくは紅茶6杯を飲むと、認知症リスクを3割以上低減できるとする研究成果が、先ごろまとめられたという。
ウィスコンシン大学ミルウォーキー校の研究グループは、65歳以上の女性6,467人を対象にコーヒーや紅茶、コーラなどのカフェインを含む飲料の消費量を自己申告してもらった。カフェインの体内摂取量は、コーヒーなどを飲む頻度やその飲むサイズなどから概算した。それから10年間、毎年彼女らの認知能力を測定した。
その結果、一日261mgのカフェイン(スターバックスのショートサイズコーヒー2杯分に相当)を摂取する人は、そうでない人と比べて、10年後に認知症になるリスクが36%低いことが判明した。ただ、なぜ一日2杯のコーヒーで認知症リスクが低くなるのかは不明。カフェインが脳の受容体に結合することは分かっているので、その点を掘り下げて研究できるかもしれないと研究グループは考えている。
「カフェインは簡単に変えることができる食事要因です。カフェインの消費が認知症対策になりうるという証拠がたくさんあり、わくわくしているところです」と主任研究者のアイラ・ドリスコール氏は語る。
「現時点でカフェインを多く摂取することと、認知症リスクが低くなることとの間に直接的な因果関係を見いだせないが、今後の研究によって、カフェインと認知症の関連性を数値化できるようになる可能性があります」とドリスコール氏は続ける。このトピックを研究すれば、カフェイン摂取が認知症予防になるということだけではなく、そのメカニズムや認知症との関連性をさらに深く理解することにもつながるとみている。
これから寒い季節が近づくにつれ、温かいコーヒーや紅茶の恩恵に与る機会は増えてくる。今回の研究結果を受けて、今冬はふだんよりその摂取量を多くするという選択肢もありかもしれない。
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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)
米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。