説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhone付属のイヤホンは音漏れするの?』という質問に答えます。

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iPhone付属のイヤホンとは「EarPods」のことですね。iPhone 7/7 Plusから接続コネクタがLightningに変わりましたが、振動板など駆動部を覆う部分(ハウジング)や軸(ステム)の構造は従来どおりで、音漏れに関する条件はほぼ同じです。

そのEarPodsですが、残念ながら構造上音漏れは避けられません。イヤホンの分類としては「開放(オープンエア)型」であり、ハウジング後方と軸に空気を逃がすためのポートが開けられていることもあって、駆動部が出す音は耳の外に漏れ出ます。現在流通している一般的なカナル型イヤホン(耳穴に差し込むタイプ)の多くは密閉型であり、音漏れという点ではEarPodsより有利です。

とはいえ、iPhone 5と同じタイミングで登場した「EarPods」は、同じく開放型だったそれまでの付属イヤホンと比較すると、音漏れはだいぶ改善されています。音の出る方向が鼓膜に向けて調整されていることの効果もありますが、低音の再生能力向上によりボリュームを過剰に上げる必要がなくなった結果、シャカシャカ音が漏れ出すことを指摘する声は減ったように思います。

なぜ遮音性の高いカナル型を採用しないのか、という疑問の声も聞こえてきそうですが、これはAppleにも考えあってのことでしょう。遮音性では秀でているカナル型ですが、人種や性別によって耳穴の形状は異なり、しかも装着時は多少の圧迫感を伴います。一方のEarPodsは圧迫感が少なく、着け心地も軽快です。それらを考慮すると、EarPodsは世界統一モデルの付属品という事情を踏まえたうえでの選択だったのかもしれません。

iPhoneに付属のイヤホン「EarPods」は、その構造上完全には音漏れを防げないものの、付属品としての役割をしっかり果たしています