俳優・市村正親が19日、ミュージカル『ミス・サイゴン』初日囲み取材に、共演の笹本玲奈、上野哲也とともに登場した。

左から上野哲也、市村正親、笹本玲奈

同作は1992年に初演をむかえて以来、日本での通算上演回数は1368回を重ねる。ベトナム戦争陥落間近のサイゴンを舞台に、愛と別離の物語が繰り広げられる。市村は初演から25年間エンジニアを務め続けたが、2014年の公園では初期の胃がんが発覚し、降板が決定。2年ぶりの登場となり、同作に出るのは今回が最後となる。

市村は「復活と同時にファイナルで」と状況を説明し、「明日のことはわからないからね。3年先まではスケジュールが決まっているけど、4年後は決まっていない。オリンピックがあるからね」とジョークを飛ばした。ファイナルと銘打ってはいるものの「次はもし元気だったらリターンズで」と、足を肩まで上げて体調の良さをアピールした。

初演の思い出として、2005年に白血病で亡くなった故・本田美奈子.さんの名前を上げ、「隣の楽屋でね、僕のことをお父ちゃん、お父ちゃんと呼んでましたね。2回公演の時は2人でごはんを食べたり」と振り返る。「今思うのは、美奈子がやりたくてやりたくてしょうがなかった『ミス・サイゴン』を、僕はやり続けているわけだから、『お前の分も頑張っているよ』と、美奈子の思いも込めて演じたいと思っています」としみじみと語った。

また、笹本は市村について「舞台に立つだけで引き込まれていく」とその存在感を絶賛。上野は「2012年にアンサンブルで出た際に、袖口で『お前、真面目だな』と声をかけてもらいました」と市村とのエピソードを披露すると、市村は「つまらないな、という意味だよ」と冗談を飛ばしつつ、「いろんなことを考えて、ちゃんとやっている」と上野のことを評価した。