あなたの国の"愛され伝統料理"は?

伝統料理というのは、言葉にするといかにも重厚な響きを持つが、気付いたら舌になじみのある料理になっていて、よく考えたらはるか昔からその土地に存在していたというものだろう。しかし、それらはその国の人にとっておいしくなければ代々伝わりもしない。それでは、世界の人々にとっての"愛され伝統料理"とはどんな料理だろうか。ズバリ、本当に愛されているのかも含め、日本在住の外国人20人に聞いてみた。

東南アジア

・「伝統料理はインドネシアで愛されていると思います。私は『urap-urap(ウラップ・ウラップ)』」というのが好きです。ゆでた野菜を味付けしたおろしココナツと混ぜて食べる料理です」(インドネシア/40代前半/女性)

・「『Sinigang(シニガング)スープ』です。豚肉やTamarind(タマリンド)の実を煮込んだ酸っぱいスープです。ぜいたくをする場合、豚肉の代わりにエビを入れます」(フィリピン/40代前半/女性)

・「『フォー』。朝ごはんとして食べることが多い」(ベトナム/20代後半/男性)

・「タイ人は非常に飽き性なため、伝統料理にいろんなバリエーションがあります。隣国の影響もあり、なんでも食べられます。日本でも毎日お寿司を食べませんよね? タイ人も毎日トムヤムクンを食べません。毎日変えて食べます。特に何でもおいしいので全部が好きです」(タイ/30代前半/男性)

東アジア

・「『チヂミ』。愛されているとは思うが、カロリーが非常に高く、後片付けや作り方が面倒くさいことから、普段はあまり食べない。韓国のお盆や、元日などに親戚が集まって作ったり、お店で注文してたまーに食べたりする」(韓国/20代前半/男性)

・「『北京ダック』『炸醤麺(ジャージャー麺)』『水餃子』『麻婆豆腐』『乾焼蝦仁(エビチリ)』『サンラータン(唐辛子入りめん)』『八宝菜』『上海ガニの蒸しガニ』『小籠包』『ワンタン』など」(中国/30代中半/男性)

・「『ホルホグ(野菜などと一緒に、石で蒸し焼きにした羊肉)』という料理はモンゴルの伝統料理です。モンゴル人は全員が大好きです。モンゴルの伝統料理は、たっぷり肉が入っています。例えば、『ボーズ(モンゴルの蒸し餃子)』『ホーシュール(モンゴルの焼き餃子)』とかです」(モンゴル/30代前半/男性)

・「もちろん今でも愛されている。日本に来てから一番恋しいのが台湾の朝ごはんであり『中に砂糖、ピーナツ粉、揚げパンなどの具がいっぱい入れているおにぎりやお粥』など、いろんな味を楽しめる」(台湾/20代後半/女性)

・「『点心』は香港の人々に愛されている伝統料理だと思います。休日になると、家族連れや若者同士で飲茶に出掛ける姿がよくみられます」(香港/20代後半/女性)

南アジア

・「伝統料理なので愛されるのは当然です。伝統料理は『カレー』です」(インド/40代前半/男性)

東ヨーロッパ

・「ウクライナでは、伝統料理を毎日食べているわけではありませんが、けっこう好きな人がたくさんいます。私も『ボルシチ』が大好きです」(ウクライナ/30代前半/男性)

・「ルーマニアの伝統料理は、ルーマニア人はみんな好きで、特にクリスマスやイースター等、重要なお祝いの時に食べます。私の好きな伝統料理は『サルマーレ(ルーマニアのロールキャベツ)』です」(ルーマニア/30代前半/女性)

・「伝統料理はとても基本的な料理なので、愛されているのもあるけど"当たり前のように食べている"というイメージもあります。『グヤーシュスープ(ハンガリーの鍋料理的スープ)』『パプリカーシュチルケ(パプリカ味の鶏肉)』『パラチンタ(ハンガリーのクレープ)』などが特長的で伝統的です」(ハンガリー/30代前半/女性)

・「『ボルシチ』です。もちろん、ロシアで伝統料理は愛されている」(ロシア/20代中半/女性)

西ヨーロッパ

・「とても愛されています。一番好かれている伝統料理は『パティスリー(焼き菓子・ケーキ)』だと思います」(フランス/30代前半/男性)

南ヨーロッパ

・「スペインの伝統料理は、地域によって違います。伝統料理が好きな人と好きじゃない人もいます。好みは人それぞれですから。私の出身はマドリッドで、マドリッドの伝統料理の中でひとつだけ選べませんが、例えば『bocadillo de calamares(イカリングフライのサンドイッチ)』がとても好きです。バル料理としてよくある料理です」(スペイン/30代前半/女性)

・「伝統料理は今でも多くの人々によって愛されていると思います。個人的に好きなのは、やはり『ピザ』です。種類も多くて、店によって味もいろいろ変わりますので毎日食べても飽きません」(イタリア/30代前半/男性)

北米

・「『ベーコン』です。アメリカの歴史でベーコンが大事な役をしていました。腐りにくいから持って行けるので、昔の探検家はベーコンがなければ生きていけなかったかもしれません。今の人も何の料理でもベーコンを使います」(アメリカ/30代前半/女性)

南米

・「愛されている料理は『フェイジョアーダ(豆類と肉の煮込み料理)』です」(ブラジル/20代後半/男性)

・「伝統料理は、パラグアイで大変愛され、スーパーなどでも手軽に買える。いろいろありますが、『Chipa(チーパ)』というチーズパンが有名」(パラグアイ/30代前半/女性)

総評

今回のアンケートでは、朝ごはんで食べるような日常にとても密着したものもあれば、ちょっと特別な日に食べる料理も登場した。日本でいうおせち料理とまではいかなくても、「今日は家族がそろったからうなぎでもとるか! 」というテンションで食べるものかもしれない。"特別な日に、ちょっと特別な気分でみんなで味わいたい料理"というのが、伝統料理の中にはあるのだろう。

また、日常に密着した伝統料理の中には、アメリカのベーコンのように、昔は保存食として活躍し現在に至っているものもあるようだ。そのほか、複数の回答に登場したような、日本ではほぼ見ることのできない伝統料理も数多くあった。「日本に来てから一番恋しいのが台湾の朝ごはん」という回答のとおり、望郷の念にかられることもあるだろう。伝統料理はそれぞれの心の奥にまで染み込んだ、まさに"愛されている"存在のようだ。

調査時期: 2016年7月16日~2016年8月15日
調査対象: 日本在住の外国人
調査数: 20人
調査方法: インターネット応募式アンケート

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