ジェイティービー(JTB)、日本通運、三越伊勢丹ホールディングス(HD)、日本航空(JAL)の4社は、アジアのインバウンドビジネスなどで協力すべく資本・業務提携を行った。アジア向け日本紹介サイト「Fun! Japan」をベースとするデジタルマーケティングの新会社を設立する。いわゆる“爆買い”が落ち着きつつあるなかで、次の一手を探ろうとする4社の動き。各分野で一流の企業が集結した背景には4社共通の危機感があった。
Fun! Japanとは
Fun! Japanはインドネシア、タイ、マレーシア、台湾の現地消費者を対象に、オリジナル記事を配信するなどして日本の情報を発信しているWEBメディア。開設したのは日通で、これまでにWEB会員33万人、Facebookファン数330万人を獲得している。規模は日本紹介サイトとしてアジア地域最大とのこと。特徴的なのは、Facebookのコメントに現地の言葉で対応するなど、アジアのユーザーと双方向でのコミュニケーションを行っていることだという。
JTB、日通、三越伊勢丹HDの3社は、共同出資で「ファン ジャパン コミュニケーションズ(FJC)」を設立。同社ではFun! Japanを運営し、このサイトをベースとするデジタルマーケティングを行う。払込資本は10億円で、出資比率はJTB50%、日通40%、三越伊勢丹HD10%。代表取締役にはJTB出身の藤井大輔氏が就任した。JALは新会社と業務提携を締結している。新会社の主な売上は、FUN! Japanを使って様々なマーケティング活動を行う企業・自治体からの手数料収入となる。
具体的なビジネスモデルは
Fun! Japanを使うことで、具体的に何ができるのか。インバウンドビジネスの拡大に向け、アジアでプロモーションを実施したい企業・自治体であれば、FUN! Japan上で属性情報を利用したターゲティングプロモーションを実施したり、JAL機内でサイネージを利用した情報発信を行ったりすることが可能だ。これにより訪日外国人の増加につなげたり、自社商品の購入・越境ECに結びつけたりすることができる。海外事業を拡大したい“食”関連の企業であれば、FUN! Japanできめ細かい現地ニーズを把握したうえで、潜在需要の高い商品を日通で配送し、現地の三越伊勢丹で店頭に並べるといったような使い方が考えられる。
提携を結んだJTBら4社は、訪日外国人の拡大や日本企業の海外展開などで今まさに恩恵を受けていそうな企業だが、このタイミングであえて協力体制を構築したのはなぜだろうか。背景には4社に共通する危機感がある。