昨年に行われた『ガンバの冒険』イベントに続き、練馬文化センターに登場した野沢雅子

今年で10回目を迎える「練馬アニメカーニバル2016」が10月15・16日の2日間、練馬駅北口周辺の3つの会場で開催され、練馬文化センター小ホールで行われたTVアニメ『ドラゴンボール』上映&トークイベントには、孫悟空役などを務める声優・野沢雅子がゲストとして登場した。

トークイベントには、孫悟空を演じる声優の野沢雅子と、アニメ評論家の藤津亮太氏が登壇。また、オープニングに孫悟空が応援に駆けつけると、野沢は「オッス! オラ悟空」とあいさつし、会場を盛り上げた。

今年でアニメ放送30周年を迎える『ドラゴンボール』。今では彼女のキャスティングなくして本作はありえないほどのハマリ役である悟空との出会いは、メインキャラクターについては当時珍しかったオーディションからと語る野沢。「オーディションでのセリフの1つが『オッス、オラ悟空』。あとは、戦う悟空の絵に合わせて『やったー!』と叫びました」と当時のエピソードを披露した。ちなみに、過去のイベントにおいては、『ドラゴンボール』のオーディションの選考者が原作者・鳥山明氏であり、鳥山氏自身が名前を伏せた音声のみを聞いて野沢を悟空役に選んだことも明かしている。

また、本作で野沢は、孫悟空、悟飯、悟天、バーダック(悟空の父)、ゴクウブラックなど何役も演じているが、悟飯が登場した当初、スタッフから自身が演じることを知らされておらず、非常に驚いたことを告白。その後は、悟空に似たキャラクターが登場すると、野沢が担当することが定番化したという。さらに、悟空と悟飯の修行シーンや、悟空ファミリーの会話、『ドラゴンボール超』においては悟空とゴクウブラックとの対決など、1人で何役もこなすシーンがたびたび登場し、苦労があるかと思いきや、野沢は「よく言われますが、私的には大変じゃない。なりきっちゃっているので」と言い切り、ファンを感心させた。

歴代ライバルで印象に残っているキャラクターとして挙げたのが、フリーザ(CV.中尾隆聖)。「あんなワガママな人いません」と当時を振り返ったほか、悟飯がピッコロに修行で鍛えられていた頃、「悟飯ちゃんがいじめられているような気がして『古川くん(ピッコロ役の古川登志夫)さあ、子どもなんだから……』と役に入り込みすぎて愚痴をこぼしたという。さらにナレーション担当の八奈見乗児も「古川よお、お前いい加減にしろよ。子どもだぞ」と援護射撃し、古川を困らせたことを告白。その仲のよさが伺えるエピソードに会場から大きな笑いと拍手が贈られた。

そのほか、自身としては初めて悪役を演じることになったゴクウブラックについても言及。「悪役は自分が強いと思って戦うじゃないですか。でも、主役にはかなわない。『俺でもかなわないのかー!』って、そのやられる瞬間が気持ちいいんです」と、悪役も楽しく演じている様子を見せた。

そして『ドラゴンボール』30周年を迎え、これまでの悟空を演じて苦労した点を聞かれた野沢は、「これまで自然体で演じてきたので、悟空の声が出るかなんて一度も思ったことがない。私は悟空だから、出来ると思っています。本当に幸せ」と、30年経っても変わらぬ悟空への想いを語った。

最後のあいさつで、野沢は「まだまだTVアニメ『ドラゴンボール』は続きます。これからも1人でも多くの人に観ていただきたいと思っています」と締めくくり、イベントは幕を閉じた。