アニメ『おそ松さん』の世界を舞台化した『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』の合同取材とゲネプロが、10月13日にZeppブルーシアター六本木にて行われた。

会見の冒頭では、十四松役の小澤廉が「おはようございーマッスルマッスル!ハッスルハッスル!」と元気に登場。しかし、ひとりでつらくなった十四松は、「松野家早く来て!話しが違うぞ……」と他のメンバーたちを呼び込む姿も見られ、その場を和ませていた。

呼びこまれて登壇したのは、おそ松役の高崎翔太、カラ松役の柏木佑介、チョロ松役の植田圭輔、一松役の北村諒、トド松役の赤澤遼太郎。そしてF6のおそ松役の井澤勇貴、カラ松役の和田雅成、チョロ松役の小野健斗、一松役の安里勇哉、十四松役の和合真一、トド松役の中山優貴ら。

質疑応答では、アニメのキャラクターになりきる難しさについて聞かれると、おそ松役の高崎が「原作が人気の作品なので、キャラの特徴を掴もうと、みんなで何回も原作を読んで台本を読み込んだ。それがつかめた頃から楽しくなってきた。舞台で六つ子の空気感を見てもらえたら」とコメント。

またカラ松役の柏木は、「カラ松はスルーには耐えられるがディスりには耐えられないという性格。アニメはそこの表情を切り取るけれど、舞台は切り取られないので、演じ続けないといけない。そんな兄弟から出されたボールをどう受け取るかが難しかった」と、チョロ松役の植田は「生のお芝居をやっている中でしか出せない音(声)があって、そういうときのチョロ松はアニメにはないチョロ松だけど、そこもチョロ松っぽいと思ってもらうことを目指している」と、それぞれの役作りについて語った。

また一松役の北村は「一松は静かにしゃべるので、広い舞台でどう視線を集めるか、また集めないかのバランスが難しかった。一松は基本的に猫背なので、肩が凝ります」と、十四松役の小澤も「十四松はスリッパをはいているので、十四松の激しい動きに対して、着地やブレーキをかけるときに『ヤバイ』と思いました」との本音も聞くことができた。

そして、トド松役の赤澤は「インパクトのある六つ子の中で、どうやって自分の味やキャラを出すのかと、みんなのすごいところを吸収して突き詰められたらと思っています」と締めくくる。2.5次元の舞台は、すでに出来上がっている漫画やアニメの世界観に、いかに近づけ、そしていかに自分のものにするかが課題となるが、そんな現場にいる俳優たちの生の声が聞けた記者会見だった。

続いてのゲネプロでは、アニメ『おそ松さん』の世界観そのままのセットがまず目に飛び込んでくる。真っ白な階段やボードに、アニメでもおなじみのパステルカラーの映像がプロジェクションマッピングで映し出されたかと思うと、舞台が回転し、二階建ての松野家が現れる。舞台が回転するたびに、六つ子の世界と、F6の世界観が交互に再現され、短編のコントを積み重ねた構成は、アニメの世界観そのもののように感じた。

また、イヤミ役の村田充、チビ太役のKimeru、ハタ坊役の原勇弥など、六つ子やF6以外のキャラクターの上手さが際立っていた。特にハタ坊の、かわいさの中に時折見せる不気味さは、アニメのハタ坊とのシンクロ率が高く見えた。そのほか、紅一点のトト子役、酒井蘭の振り切った演技の見られるパートでは、笑いが一番大きかったのではないかと思えるほどだった。

最後には、六つ子、F6、すべての出演者で、歌って踊って舞台は終わった。こうしたレビューの楽しさも、昨今の2.5次元で欠かせない要素であるが、ぜひともペンライト持参(会場でも公式ペンライトが購入できる)をお勧めしたい。

アニメの設定、キャラをそのままに生かしたオリジナルのストーリーの中で、六つ子の日常と、F6の物語が繰り返されていた『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』。いくつものパートがあることによって、『おそ松さん』という物語は、様々な設定の空間を行き来するパラレルワールド的な要素のある話だったのだなと、より強く意識させられた舞台だった。

舞台『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』は、Zeppブルーシアター六本木で10月23日まで上演。千秋楽の23日には、全国の映画館にてライブビューイングが行われる。

(C)赤塚不二夫/「おそ松さん」on STAGE製作委員会2016