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韓国料理やインド料理、ピリッと爽快な辛さが特徴の料理。好物の人も多いでしょう。そんな辛い料理は、妊娠中に食べても問題ないのでしょうか。今回は、En女医会の産婦人科専門医・間瀬有里先生にお聞きしました。
辛いものはよくない!?
ーーズバリ、辛いものは妊婦さんに問題はないのでしょうか
そうですね……控えたほうが無難だと思います。
ーーそれにはどんな理由があるのでしょうか?
大きく二つあります。一つめは、辛いものを食べることによって、アドレナリンが分泌されて、一種の興奮状態になると考えられるからです。妊婦さんに必要なのは、どちらかというと興奮状態よりもリラックスした状態です。しかし辛いものがお好きなのに、食べてはいけないと言われるとそれもストレスですよね。適度に食べるぶんには問題ないと思います。
ーーでは、もう一つの理由は?
痔です。直腸と肛門の境目は非常に繊細にできていて、その部分には毛細血管が集まっています。強くいきんだり、下痢が続いたりすることでその部分が不具合を起こします。それが原因で痔になることが多いのですが、唐辛子の主成分のカプサイシンはほとんど消化吸収されずに肛門までやってくるので、その刺激が良くないのです。
妊婦さんは痔になりやすい
ーー妊婦さんは痔になりやすいと聞きますが……
その通りです。妊娠がすすむと、子宮がどんどん大きくなることでほかの臓器を圧迫していきます。直腸や肛門も例外ではありません。また、黄体ホルモンの影響で胃腸の動きがにぶくなるので、便秘になりがちです。それも肛門周辺の血行を悪くする原因になり、ひいては痔につながるのです。
ーー分娩のときだけでなく、妊娠中から痔になりやすいものなのですね
そうです。たしかに、分娩のときの圧力や衝撃が原因で痔になる人は多いです。しかし、妊娠中の臓器圧迫によるうっ血と、便秘が原因で痔になる場合がもっと多いように感じます。
ーーどう治療したらいいのでしょうか
産婦人科でも薬を処方することができますし、食事のアドバイスをすることもできます。痔の専門医をご紹介することもできます。その際には、連携して治療にあたりますよ。
ーーありがとうございました!
■プロフィール
間瀬有里
2003年 日本医科大学卒業。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加するEn女医会に所属している(En女医会とは、会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用し、医療分野での啓発活動を積極的に行っている団体)。
産婦人科専門医、指導医。医学博士。大学病院助教を経て、現在、東京ミッドタウンクリニック勤務。長年の大学病院勤務経験を生かし、現在は健診業務から一般外来診療まで幅広く対応している。二児の母としても、日々奮闘中。