高校でPhotoshop、Illustratorを使った作品制作を実施
奈良県教育委員会は、文部科学省のICT活用力調査(2015年)において全国最下位となってしまったことをきっかけに、ICT活用にむけた教員養成プログラムを策定。Creative Cloudを県下の県立高校すべてに導入するなど、教育現場でのICT活用力の向上対策を行っている。
導入事例として、奈良県立磯城野高等学校の松下征悟教諭が指導したARコンテンツ開発にまつわるCreative Cloud活用エピソードが語られた。名勝にも指定されている日本庭園「依水園」を紹介するARコンテンツを制作するにあたり、画面レイアウトなどをPhotoshopで、紹介POPの作成をIllustratorで、そして紹介動画の編集をPremiere Proで行った。制作にあたった生徒はビデオメッセージの中で「限られたスペースに情報をデザインする難しさを知った」とコメントした。
デザイン理論からPhotoshopの操作まで学べるチュートリアル
ライフイズテックは、中高生向けのプログラミング教育を手がけている企業。今回の協業では、アドビのクリエイティブツールを用いた学校行事などに関連したチュートリアルの開発を行う。奈良県教育委員会との協業により、実際に教育現場を見た上で教材を開発することができているという。
会見の席で発表されたのは、文化祭のポスターをPhotoshopでつくるチュートリアル「ポスターデザイン with Photoshop」。デザイン理論の学習から始まり、レイアウト、Photoshopの基本解説、文字の編集など段階を経てポスターを完成させていく。総履修時間は5時限分、15本の動画や教材を順次公開する予定だ。
これ以外にも、教える側が基本的な知識から学ぶためのオンライン教員研修プログラムも用意する想定。教材作成など各種目的ごとの教員向けCreative Cloud活用チュートリアルだけでなく、課題解決型授業を実施して生徒が実際のイノベーション創出現場を体験できることをゴールに、教員に対してデザイン思考やイノベーションプロセス、新規ビジネス創出のためのフレームワークなどを紹介・体験する機会を提供する。
生徒向けの教材に関しても、文化祭の告知を行うためのスマートフォンサイト、LINEスタンプ制作、部活勧誘ちらし制作などの具体的なユースケースに基づく内容を予定している。
なお、「Adobe Education Exchange (AEE)」のメンバー加入費用は無料(Adobe IDの作成は必須)。メンバー加入可能な対象者は、すべての教育機関(初等・中等・高等教育機関)の教職員、教員を目指す大学生、その他アドビが承認またはメンバー加入を依頼した学生・社会人となっている。