一般社団法人日本能率協会は10月12日、「第7回ビジネスパーソン1,000人調査(仕事と健康編)」の結果を発表した。調査は7月26日~8月1日、日本能率協会総合研究所「JMARリサーチモニター」のうち全国の20歳~69歳までの正規・非正規雇用の就業者1,000人を対象にインターネットで行われた。
健康で働くためには「職場の人間関係を良好に保つ」
健康で働くために効果があると思うことを聞いたところ、「職場の人間関係を良好に保つ」(38.9%)が最多に。性別でみると、男性34.9%、女性43.9%となり、女性では4割を超えた。次いで「健康的な食事を選ぶ」(29.6%)、「趣味を充実させる」(29.6%)、「定期的に健康診断を受ける」(29.0%)が続く。
1日あたりの平均残業時間別にみると、残業時間3時間以上の人では、1位は「残業を減らす」(31.3%)となり、「職場の人間関係を良好に保つ」(25.0%)は4位だった。
残業による私生活への影響
日常的に残業をしている人514人に、残業による私生活への影響を聞いたところ、1位「趣味の時間が減った」(28.4%)、2位「睡眠不足になった」(25.1%)、3位「食生活が乱れた」(22.2%)となり、残業により健康で働くために効果があると考える食事や趣味を犠牲にしている状況になっていることがうかがえる。
1日あたりの平均残業時間別にみると、2時間未満の人では、身体面の不調が精神面での不調を上回っているものの、2時間以上の人では、精神面での不調が身体面での不調を上回っており、2時間以上3時間未満の人で25.3%、3時間以上の人で25.0%の人が、精神面で不調を感じている。
残業をする理由は、「自身の日常業務が終わらないから」が最多で45.7%。次いで「突発的なことに対応する必要があるから」(27.6%)、「残業手当(時間外給与)が欲しいから」(15.8%)だった。
1日あたりの平均残業時間が3時間以上の人では、「自身の日常業務が終わらないから(50.0%)に次いで多いのが「職場が残業をする雰囲気だから」(27.1%)。長時間残業の背景には、職場風土の影響がうかがえる。
残業を減らすためには?
残業を減らすために職場に求めることは、1位「必要ない業務をやめること」(29.8%)、2位「残業をしない職場の雰囲気づくり」(28.6%)、3位「特定の人に負荷がかからない仕事の割り振り」(24.9%)となった。3時間以上残業をしている人では、「職場の人員を増やすこと」(33.3%)が最多だった。
残業を減らすために自身で工夫していることは、1位「優先順位の高いものから取り組む」(28.0%)、2位「目の前の仕事に集中する」(22.8%)、3位「時間管理を徹底する」(19.3%)となった。
3時間以上残業をしている人では、「任せられる仕事は他人に任せる」(20.8%)が最多となった一方、「工夫していることはない」と回答した人が41.7%にのぼるなど、長時間残業をする人は個人的な工夫にあまり積極的ではない様子がうかがえる。
調査では、「長時間残業の削減に向けては、個人的な業務の工夫で済ますのではなく、職場ぐるみで残業を減らす雰囲気をつくっていくこと、特に経営層や職場のリーダーが率先して働きかけることが第1歩です」とコメントしている。