KNXは、ビル・オートメーション・アプリケーションで最大限の総合な効率性を発揮するバス・システムであることを証明し続けており、それに応えて半導体企業は、需要拡大に適宜対処可能な、最先端ICソリューションを投入しています。オン・セミコンダクターが提供する「NCN5120/NCN5121/NCN5110/NCN5130」は、ツイスト・ペア・ネットワーク上で使用するように設計された高性能KNXトランシーバICシリーズで、高いシグナル・インテグリティを確保したデータの送受信と、同一バス上での電力供給を行うことができます。

これらのICは、ツイストペア・タイプのKNX技術に関する独自の専門技術を用いて製造されています。各ICは20Vリニア電圧レギュレータに加えて、広い電圧範囲をカバーする2個(固定3.3Vおよび1.8V~21Vの可変)の高効率DC-DCコンバータを内蔵しています。これらのデバイスは、ネットワーク上の各ノードに必要な通信および配電素子を集積し、スマート集中KNXビル・オートメーション・システムを容易に構築する支援を行っているため、KNX技術が有するエネルギー効率と汎用性を十分に活用できるようになります。

ホーム/ビル・オートメーションに利用可能な市販の多様なバス技術がありますが、KNXほど多くの製造企業からサポートを受けているものはほかにありません。KNXを採用すれば、インテリジェント制御システムを確立でき、それを通じてすべてのアプリケーションやデバイスが1つの共通言語で通信できるようになります。ホーム/ビル・オートメーション機能の制御と監視は、追加のコントロール・センタなしで、1つの均一アーキテクチャ・システムを使用して達成できます。その結果、空調、照明、アクセス制御機構など、さまざまな機能を実行できます。利便性と快適性を向上させ、都市住人のエネルギー効率を改善することができます。この技術が標準化され、KNX製品のすべてに相互互換性があれば、既存の設備を簡単に変更したり、必要に応じてスケール・アップしたりすることが可能です。

KNX技術は過去25年間にわたって販売されてきましたが、固有の利点が備わっているため、膨大な認証製品と併せて、ホーム/ビル・オートメーション・システム向けに将来を約束された重要な標準規格となっています。

著者プロフィール

Frederic Valentin (フレデリック・バレンティン)
ON Semiconductor
製品ラインマネージャ

IoTセグメント向け製品の仕様策定、製品戦略策定と実施、売り上げと利益の管理を担当。Infineon Technologies、Thales、AMI Semiconductor(2002年にON Semiconductorが買収)を通して17年以上の半導体業界の経験を持ち、CADエンジニア、設計エンジニア、製品マネージャ、FAE業務を担当。フランス・パリのピエール・マリー・キュリー大学で理論物理学と数理物理学の高等教育証書を、またENSICAEN大学で理学修士号を取得