--:センサモジュールをさらに進化させるということですか? Philips:私たちのチームは第3世代目となるセンサモジュールの開発をすでに開始しています(図4参照)。センサノードは市販のボード(TIのSimpleLinkマルチスタンダードCC2650 SensorTag)上に構築されています。このボードには温度、相対湿度、周囲光と音を測る標準的なセンサの装備に加えて、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、および802.15.4またはBluetoothスマートプロトコルを介した通信リンクが含まれています。CO2、VOC、NO2などのガス類や粒子を測定するため、および動体検知のための赤外線パッシブセンサ(PIR)も追加しました。また、電池の効率的な使用を可能にするボードも含まれています。ハードウェアのみならずソフトウェアアーキテクチャもコンポーネントベースです。このように、ノードは複数のセンサで拡張でき、異なる無線プロトコル、さらに他のOSもサポート可能となっています。
このシステムのソフトウェアには、いくつかのアルゴリズム、例えばデータ融合を可能にするアルゴリズムなども追加しています。複数種類が混合されたガスや、複数のガスセンサを使用し測定する場合、データ間の相関を調べる事が可能です。これは単に1つのセンサを使用するよりも信頼性が高く、かつ、インターネットを介してシステムを検査することを可能とします。特に、耐用年限が数年のアプリケーションで使用されている場合、ガスセンサは再調整が必要です。多くの市販のセンサは感度が低く、不安定になる可能性もあります。データ融合を適用することで、悪いセンサを無視し、より正確なデータを生成することができるようになります。
--:今後はどのような開発に取り組んでいく予定ですか? Philips:imecとHolst Centre共同チームは現在、テストベッド上に別のセンサアプリケーション「RF 通信に基づいた局所化(Localization)システム」を開発中です。企業は、完全かつ計測可能なIoTアプリケーションを開発するためにこのソリューションを取り入れることができます。局所化技術は人工衛星を必要とせず、屋内で使用することができます。数GHzのドメインで動作し、安価で標準的な無線を使用しており、時間領域で信号の追跡を可能にするアルゴリズムを加えています。信号が送受信されたタイミングを測定し、送受信間の位相差を検出することによって、送信機と受信機の間にある距離を決定することができます。人工衛星を用いず屋内で使用できるGPSシステムのような機能の実現は興味深く、ネットワーク内のすべてのセンサをトレースすることを可能にします。特に、ネットワークに数百または数千のセンサが含まれている場合において有用性を発揮します。バッテリーを充電する際、または無線を介してソフトウェアの更新を追加する際に、すべてのセンサを見つけ、マッピングする機能はセンサネットワークを維持するために重要となるためです。