大気汚染あるいは室内空気品質を測定するためのセンサネットワークを構築したいけど、それに最も適しているセンサはどれなのか?、ホームオートメーションシステムを拡張したいけど、既存システムと通信できるセンサをどのように作れば良いか?、既存センサネットワークにどうすればセンサを追加できるのか?。こうした疑問を抱える企業やIoT構築を成功させたい企業に向け、ベルギーの独立系研究機関imecとオランダの独立系研究機関Holst Centreは共同で、IoT構築を支援するテストベッドを開発した。今回、両機関を結び付けるプログラムディレクターを務めるKathleen Philips博士(図1)にテストベッド開発の背景やその活用法、そして今後の展望について聞く機会をいただいたので、その模様をお届けしたい。
ちなみに同氏は、オランダPhilips中央研究所で12年間ほど勤務した後、2007年からimecで超低消費電力ワイヤレスシステムの研究に従事し、現在はその延長で、IoTセンサネットワークの高度化、実用化と普及に尽力している。
--:どのようなIoTシステムを実現しようとしているのですか? Philips氏:IoTは増加の一途をたどっています。モノがつながるシステムは私たち自身および周りの世界についてデータを生成したり情報を収集します。将来的には、これらのシステムはセンサから発信された情報だけではなく、クラウドからのデータを活用して、身の回りの世界の情報も取り込みます。そこで、データを測定し、分析し、人手を経ず、しかしまるで人が直感で行動したかのように、アクションに結びつけます。わたしたちはこれを直感的なIoT(Intuitive IoT)と呼んでます。しかし、この概念を実現するのは非常に困難です。信頼性の高いIoTアプリケーションを構築したい場合には 、幾つかの技術的なハードルをクリアしなければなりません。
--:技術的ハードルとはどのようなことでしょうか? Philips氏:例えば、現在、オフィス環境では2つあるいは3つのセンサが含まれているのが普通です。しかし、今後数年で100さらに1000に増加したらどうなるでしょうか?。これらすべてのセンサをくまなくトレースするにはどうすればよいでしょうか?。どのようにセンサを維持し、電池を充電すれば良いのでしょうか?。どのように生成されたデータを安全に取り扱えば良いのでしょうか?。異なるメーカーのセンサノードをどのようにすれば互いを無線で通信できるようになるでしょうか?。また、サービスやアプリケーションを開発している企業は、どのセンサを選ぶべきなのでしょうか?。そして、どのように手頃な費用を維持していけば良いでしょうか?。このようにセンサに対する状況認識が十分でない事が多くあるということです。